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勢い増すAIスタートアップ「トップ100社」

CBINSIGHTS
2019年もスタートアップの動向に関するニュースが相次いだ。ソフトバンクグループが出資するウィーカンパニーを巡って巨額の損失を計上するなど、ネガティブなニュースも印象に残る。世界的な景気悪化の懸念も重なり、20年もスタートアップを取り巻く環境は不透明だ。ただ、人工知能(AI)でとがった技術やサービスを持つトップ100社に目を向けるとポジティブな動きも多い。CBインサイツがAI100社の19年の動きを検証した。
日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週2回掲載しています。

CBインサイツが2月に発表した2019年の人工知能(AI)分野の有望スタートアップ企業100社「AI100」には、3つの大陸から18の業界の企業が入った。各社は特許活動、投資家のプロフィル、ニュースのセンチメント(感情)分析、市場の可能性、提携、競争の状況、チーム力、テクノロジーの目新しさなど様々な基準に基づき、3000社以上から選ばれた。

2月の発表以降、7社が大企業に買収され、4社がユニコーン(企業価値が10億ドル以上の未公開企業)になり、数社が米マイクロソフトや米オラクル、英金融大手HSBC、米ゼネラル・エレクトリック(GE)などと提携した。今回は100社のこの1年間の成長ぶりを取り上げる。

買収:テスラ、ウーバー、アップルなどが買収

2019年の「AI100」スタートアップのうち、他社に買収されたのは7社だった(19年12月10日時点)。7社はサイバーセキュリティー、通信、運輸、コンピュータービジョン技術などの分野でAIを活用した解決策を手がけている。

最も目立った分野は自動運転だ。米アップルは自動運転車によるシャトルサービスを提供していた米ドライブ・エーアイ(Drive.ai)を買収し、同社の有能な人材を手に入れた。同じ週には、米ウーバーテクノロジーズがコンピュータービジョンのスタートアップ、米マイティAI(Mighty AI)を買収した。マイティAIは自動運転技術の開発企業と協力し、車の物体認識を訓練する。同社はウーバーの自動運転技術開発部門「アドバンスド・テクノロジー・グループ」に統合された。

米電気自動車(EV)メーカーのテスラはシリコンバレーに拠点を置くディープスケール(DeepScale)を買収した。ディープスケールは自動運転システム用のコンピュータービジョンソフトを開発している。

「AI100」のうち、19年12月10日までに買収された企業

米インテルはイスラエルのハバナラボ(Habana Labs)の買収交渉を進めているとされる(編集部注:この記事が出た後、インテルが12月16日に買収を発表)。ハバナラボは米インテルキャピタル、米バッテリー・ベンチャーズ、米ベッセマー・ベンチャー・パートナーズ、米WRVIキャピタルから出資を受けており、訓練や推論用のAIプロセッサーを開発している。

ユニコーン:企業価値10億ドル以上は4社

AI100に選ばれた企業のうち、19年2月以降に企業価値が10億ドル以上に達したのは4社だった。選出される前に既にユニコーンになっていた企業は10社だった。

中国の地平線機器人(ホライズン・ロボティクス)は自動運転、スマートシティーの交通監視、小売業のアナリティクスに使う店内カメラのエッジAI半導体を開発している。19年2月にSKチャイナが主導したシリーズBの資金調達ラウンドで6億ドルを調達し、企業価値は30億ドルになった。

米ニューロ(Nuro)は19年2月、シリーズBでソフトバンクグループから9億4000万ドルを調達した。これにより、ラストワンマイルの配達に特化した自動運転車を開発するニューロの企業価値は27億ドルになった。

米シェイプセキュリティー(Shape Security)は19年9月のシリーズFで5100万ドルを調達し、企業価値は10億ドルになった。カリフォルニア州に拠点を置く同社はAIを活用し、モバイルやウェブのアプリで普通の顧客と、顧客になりすましたハッカーを識別する。

米ボストンのデータロボット(DataRobot)は19年7月のシリーズEで2億ドルを調達し、企業価値を10億ドルとした。同社のプラットフォームはデータセットを取り込み、銀行や医療、保険などの業界の企業向けに予測モデルを自動作成する。

「AI100」のうち、2019年に新たにユニコーンになった企業

資金調達:全体で50億ドル弱に

19年2月以降、AI100のうち48社が資金調達を実施し、計49億ドルを調達した。

米グーグル・ベンチャーズ、米クライナー・パーキンス(KPCB)、米金融大手ゴールドマン・サックス、米半導体大手エヌビディアなど著名な投資家や企業が、医療画像スタートアップの米Viz.ai、BI(ビジネス・インテリジェンス)スタートアップの米H2O.aiといったAI100企業に出資した。

一度に1億ドル以上を調達する「メガラウンド」を果たしたのは10社だった。メガラウンドは自動運転や半導体などの業界のほか、コンピュータービジョン、定型業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、データマネジメント、サイバーセキュリティーなど複数の業界にまたがる用途に及んだ。

「AI100」の2019年のメガラウンド

主な提携

いくつかのスタートアップが事業を拡大するために戦略パートナーシップを締結した。

半導体スタートアップの英グラフコア(Graphcore)は11月、米マイクロソフトのクラウドサービス「アジュール」でAIプロセッサーを展開するためにマイクロソフトと提携した。これにより、グラフコアのAI半導体の利用が増え、顧客基盤が広がる可能性がある。

RPAを手がける米ユーアイパス(UiPath)は4月、法律関連業務の自動化を進めるためにデロイトと提携した。ユーアイパスは今年のAI100に選ばれて以降、欧米やアフリカ、中東で20社以上と提携している。

RPAスタートアップの米オートメーション・エニウェア(Automation Anywhere)も今年のAI100に選ばれて以来20社以上と提携している。同社はマイクロソフトやオラクルと手を組み、マイクロソフトの「アジュール」や「オラクルクラウド」でRPAサービスを提供する。

クラウド・コンピューティングに加え、医療でも提携が盛んだった。

サンフランシスコに拠点を置くViz.aiは深層学習(ディープラーニング)を使ってCTスキャンの画像を解析するスタートアップだ。同社は医療機器大手の米メドトロニックと提携した。これにより、メドトロニックはデータや知見の販売への事業転換を進め、Viz.aiは自社のAIソフトの販路を広げた。

米インシトロ(Insitro)はAI創薬で米製薬大手ギリアド・サイエンシズと提携した。米アトムワイズ(Atomwise)と米製薬大手イーライ・リリーもこの分野で協力している。

主な新製品・サービス

一部の業界のAIスタートアップは新製品・サービスを発売したり、従来の製品にAI機能を追加したりしている。

米セレブラス・システムズ(Cerebras Systems)は8月、約9インチ四方の大きさのAIチップを発売した。同社によると、これは世界最大のチップだという。11月にはデータセンター用AIプロセッサー「セレブラスCS-1」も投入した。

AIやあらゆるモノがネットにつながる「IoT」分野のスタートアップ、米ファルコンリー(Falkonry)は予兆を検知するためにエッジ端末で展開できる「携帯型の独立エンジン」を発売した。

カナダのエレメントAI(Element AI)も文書の読み込みやサイバー攻撃の検知などを処理する一連のAIツール「AIイネーブルメント・ツールズ」「インサイト・ライブラリーズ」をリリースした。

データロボットは米金融データソフトウエアのファクトセットと共同で、投資ワークフローツールを発売した。これにより、金融アナリストは金融・経済データを活用して機械学習による予測モデルを構築できるようになる。

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