三菱重工の香焼工場売却方針、長崎の関係者に驚き

2019/12/18 18:57
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三菱重工業が18日、造船の主力工場である香焼工場(長崎市)を大島造船所(長崎県西海市)へ売却する方針を正式発表したことは、地域の中核企業による売却だけに地元には驚きが広がった。一方、長崎県などはICT(情報通信技術)や航空機関連など新産業の育成に力を入れており、地域の産業構造が転換期を迎えているといえそうだ。

「突然の話で、事前にまったく話は聞こえてこなかった」。長崎市の造船業界関係者は驚きを隠さない。三菱重工の協力会社幹部は「香焼工場での仕事がなくなってきている実感はあった。同じ県内でそれなりに気心の知れている大島造船所に移るのは不幸中の幸い」との見方を示した。

長崎市の田上富久市長は「大変重く受け止めたい。ただ(三菱重工からは)造船事業を今後も充実させていくという話を聞いており、感謝している」と話した。長崎商工会議所の宮脇雅俊会頭は「今後とも地域の発展に尽力してもらうことを期待する」と語った。

三菱重工は同工場の600人の対応は検討中とするが「地域の雇用への影響は最小限に抑えるようにする」(広報部)としている。田上市長は雇用や協力会社への影響について「当面は急激な変化がないと受け止めている。市としてできることがあれば対策を講じていく」と述べた。

これまで地域経済を支えてきた造船業は中国や韓国勢の攻勢により、厳しい状況になってきていた。ピーク時の1970年代に長崎県での船舶建造数は170隻を超えていたが、近年では60~70隻にまで落ち込んでいる。中村法道知事は「造船産業の競争環境は激化しており、新たな産業を育成する必要がある」と強調してきた。

県は航空機やICT、再生可能エネルギー関連を重点分野と位置づけ、育成に取り組んでいる。IT分野では長崎市などと連携し、富士フイルム京セラなど大手企業の研究開発拠点誘致を進めている。

さらに、諫早市ではソニーが1000億円規模でイメージセンサーの新工場建設を計画しており、エンジニア1000人の雇用が新たに生まれる見通しだ。また、航空機関連も部品メーカーによるサプライチェーンが構築されつつある。ものづくり以外では観光で、外資系や大手商社系のホテルなどが進出を予定している。

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