かんぽ問題の責任「しかるべきタイミングで」郵政社長

2019/12/18 17:55 (2019/12/18 22:12更新)
保存
共有
印刷
その他

かんぽ生命保険の不適切販売をめぐり、外部弁護士らの特別調査委員会は18日、「不適正募集が黙認される風潮が形成されていた」と指摘した報告書を公表した。会社側の調査では法令・社内規定違反が疑われる契約が9月時点から1万2836件に倍増。同日記者会見した日本郵政の長門正貢社長は「しかるべき経営責任をしかるべき時期に発表する」と述べた。

4万人弱が答えたアンケートなどを基にまとめた報告書では、販売員の規範意識の低さや達成困難な営業目標が不正拡大につながったと結論づけた。企業統治(ガバナンス)の不全も指摘。「問題を矮小(わいしょう)化する組織風土」だったと断じた。

保険販売員による不正の動機では、新規契約を獲得することで営業手当を得られる報酬制度の問題を挙げた。会社側が「成績優秀者」を厚遇したことが不正を助長した。販売員の1.4%にすぎない優秀者が不正が疑われる契約の4分の1に関与していた。

アンケート調査に回答した販売員のうち、半数程度が「不適正募集を職場で見聞きしたことがある」という。顧客軽視の販売がまん延している実態が浮き彫りとなった。今回、問題となった保険料の二重徴収などの乗り換え契約のほか、高齢者に対する不適切な販売や高額契約など多岐にわたる不正が報告された。

法令・社内規定違反が疑われる契約の加入者を年代別にみると60代が32%で最も多く、60~90代で7割を占めた。男女別では女性が85%に上る。長門氏は「社員一人ひとりまでコンプライアンスの意識を浸透させる」と述べた。

会社側は14~18年度に不利益を与えた可能性のある18万3千件の顧客に対して8月から調査書を送り、電話や訪問で契約時の販売員の説明に問題がなかったか確認してきた。8割にあたる14万8千件で顧客の意向を確認した。

「販売員から解約できないと言われた」「持病があっても入れると説明を受けた」などと法令・社内規定違反を疑わせる証言のあった事案が1万2836件に上った。このうち法令違反48件、社内規定違反622件が確定した。

ただ販売員の聞き取り調査や弁護士の事実認定などを経て違反かどうか最終的に判定できたのは、不正疑いがある件数の19%にあたる2487件にとどまる。違反疑いの件数が膨れ上がり、販売員側の確認作業も膨大となった。違反が確定すると、販売員は資格停止などの処分となるため、慎重な事実認定が必要で時間がかかっている。

当初は年末に最終判定まで終えるつもりだったが、調査は3月末に向けて続ける。確定する件数は数倍に増える可能性が高い。

郵政グループは今回の記者会見で再発防止策も合わせて公表した。日本郵政の監査部門がかんぽや日本郵便に直接監査に入ることなど各社の法令順守や監査関連の部門の強化を挙げた。

長門氏はかんぽ問題で「郵便局ネットワークに対する信頼を裏切った。経営陣として大きな責任を感じている」と述べた。27日にも出される金融庁による一部業務停止命令などの行政処分も踏まえて責任のとり方を判断する考えを示した。不正の全容はいまだ明らかになっておらず、郵政グループの信頼回復の道筋はみえない。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]