田嶋陽子のフェミニズム、女性作家に刺激

文化往来
2019/12/20 2:00
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イベントで「女らしさ」「男らしさ」を表す言葉を書き出す田嶋陽子氏(右)(16日・東京都新宿区)

イベントで「女らしさ」「男らしさ」を表す言葉を書き出す田嶋陽子氏(右)(16日・東京都新宿区)

「We LOVE 田嶋陽子!」。思わず目を奪われる文言が表紙に躍る。11月発売の雑誌「エトセトラ」第2号だ。フェミニズム専門出版社「エトセトラブックス」が発行し、責任編集を作家の山内マリコ氏と柚木麻子氏が務めた。フェミニズムを内包する小説を発表してきた2人は、田嶋氏が1992年に出した「愛という名の支配」を最近読んで刺激を受け、特集を思い立ったという。同書もこのほど新潮文庫より刊行され、3氏によるトークイベントが開催された。

「自分を解き放つために書いた本を、若い人が評価してくださった」。イベントに先立つ取材で田嶋氏は喜びを語った。「愛という名の支配」は、自伝的な内容だ。「女らしさ」を押しつける母との関係に苦しんだ経験をつまびらかにし、その抑圧の原点には、社会における構造としての女性差別があることを解き明かす。山内氏は「フェミニズムの本の多くは学術的。この本は田嶋さんが自分の頭で考えたことと体験を書いていて、非常にわかりやすくフェミニズムが伝わる」と指摘。柚木氏も「これなら子供でもわかる」と話す。

1990年代、テレビでは「おじさんVS田嶋陽子」という構図の番組が広がり、田嶋氏の言葉は揶揄(やゆ)の対象になった。「当時は男だけじゃなく、女からもフェミニストからも孤立していた」と田嶋氏。それでも出演し続けたのは「おじさんの後ろにいる人たちを意識したから。今までとは違う物の見方があるんだよと、テレビの向こう側に言っていた」。

90席が半日で完売したイベントでは、会場から声を募り、男らしさ、女らしさを構成する言葉をホワイトボードに書き出した。「気が利く」「やさしい」「愛嬌(あいきょう)がある」などの「女らしさ」は誰かに尽くすことを期待されており「女らしさを生きたら、人間になれない」と田嶋氏。フェミニズムとは「『女』からひとりの人間になること」と力を込めた。(桂星子)

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