マレーシア実利優先鮮明 中国企業と不動産開発再開

2019/12/17 21:35
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【シンガポール=中野貴司】マレーシア政府は17日、中国の国有企業が参加する首都クアラルンプールの大型再開発計画「バンダル・マレーシア」の詳細を発表した。マハティール首相は同日の記念式典で「中国との共同開発が国民の利益となることを示す案件だ」と、中国との経済協力の利点を強調した。

バンダル・マレーシアの契約締結式典にはマハティール首相らが出席した(17日、クアラルンプール近郊)

17日に結んだ開発契約では、政府が受け取る配当の割合を当初計画に比べて増やすなど、経済面での利益を確保する契約内容に改めた。マハティール政権は中国企業が主導する東海岸鉄道の建設も費用を大幅に圧縮した上で再開している。対中国で実利を重視する姿勢が鮮明になっている。

政府は同日、バンダル・マレーシアの開発主体の株式の60%を、中国鉄路総公司グループとジョホール州政府が出資する企業の連合体に売却する契約を結んだ。中国鉄路は連合体の株式の40%を保有するため、バンダル・マレーシアへの出資比率は実質ベースで24%になる。

バンダル・マレーシアはナジブ前政権時代の2015年に入札が実施され、中国鉄路などの連合体が開発を主導することが決まった。だがナジブ前政権は17年5月に突然契約を白紙に戻し、政権交代後の19年4月にマハティール政権が再び計画を推進する方針に転じた経緯がある。

結果的に、中国鉄路などが開発を主導する枠組みは変わらないが、17日に再締結した契約では、マレーシア政府が受け取る配当の配分割合を従来の40%から50%に引き上げた。マレーシア企業からの建材調達を増やすことや、主にマレーシア国民向けの住宅戸数を1万戸に倍増することも盛り込んだ。

マハティール氏は17日、開発を再開する目的を「東海岸鉄道と同じように、マレーシアに新たな経済価値をもたらすためだ」と明言した。政府は費用を3割以上圧縮した東海岸鉄道と同様に、再交渉によって中国から譲歩を引き出した点を強調する。

一方中国側にとっては、再開発を広域経済圏構想「一帯一路」の重要案件として内外に示せる利点がある。17日の式典に出席した中国の白天・駐マレーシア大使は「バンダル・マレーシアは両国の経済協力の新たな基盤となる」と述べた。中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)やネット通販大手アリババ集団もオフィスビルへの入居に関心を示しているという。

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