せかい旬景 クリスマスはサンタ姿で撮影会(台湾)

コラム(国際)
2019/12/20 22:00
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サンタクロースの衣装でカメラに向かってポーズを取ってくれた陳さん(左)=台湾・新北市

サンタクロースの衣装でカメラに向かってポーズを取ってくれた陳さん(左)=台湾・新北市

12月に入り、アジア各国の街角でもクリスマスを祝う雰囲気が漂いだした。台湾・台北市に隣接する新北市が主催するイベント「クリスマスランド」は市庁舎に映し出されるプロジェクションマッピングを目玉に、ライトアップされた会場に毎年のべ600万人が訪れる。ロマンチックな写真が撮影できないかとカメラ片手に訪れた。

イルミネーションを楽しむ人たち

イルミネーションを楽しむ人たち

プロジェクションマッピングが映し出される新北市庁舎

プロジェクションマッピングが映し出される新北市庁舎

台湾北部の緯度は沖縄県の宮古島とほぼ同じだが、12月ともなると夜間は20度を下回ることも多い。当日の気温は17度でTシャツ一枚では耐えられない寒さだ。着てくる服を間違えたと震えながら会場を歩いていると、妙な光景に出くわした。サンタクロース姿の女性たちだ。

イルミネーションがきらめく街角で突如本格的な撮影会が始まった

イルミネーションがきらめく街角で突如本格的な撮影会が始まった

彼女たちはカメラマンを従え、あれやこれやと撮影している。カメラマンはプロ顔負けの機材で小型ライトなども駆使している。すぐ横で記念撮影している家族連れやカップルと比べあまりに異なった雰囲気だったが、本人たちは気にする様子はない。露出度が高すぎるサンタクロースも何人かいる。あまりの熱心さに声をかけるのもためらわれたものの、午後10時のイベント終了で一段落した様子。話を聞いてみた。

照明機材を駆使して撮影する陳さん

照明機材を駆使して撮影する陳さん

モデルの陳佳宜さん(24)によれば、定期的に撮影会を開催しているグループだという。あくまで趣味なのでモデル代などギャラはなし。本職は保険会社の社員だ。参加理由は「きれいに撮ってもらってSNSに投稿するのが楽しい」とあっけらかんと話す。衆人環視の中での撮影は照れないか、と聞くと「日本人はシャイだからね。私は全然気にしない。こうやって声をかけてくれて、友達の輪が広がるから」と笑う。見せてくれたインスタグラムには無数の陳さんが並んでいた。

陳さんのインスタグラムは様々な衣装で撮影した写真が並んでいた

陳さんのインスタグラムは様々な衣装で撮影した写真が並んでいた

カメラマンにも話を聞いた。陳志新さん(36)は、カメラ歴7年のアマチュアだ。モデル撮影をするようになって5年が経つが、女性をきれいに撮影するのはとても楽しいと話す。仲良くモデルと話す様子を見ていると、モデルとカメラマンが友達関係の写真愛好クラブ、ということらしい。写真好きのカメラマン、撮られるのが好きな被写体。当たり前だが、撮る側と撮られる側の理想的な関係がここにはあるようだ。

カメラマン陳さんのお気に入りの写真

カメラマン陳さんのお気に入りの写真

筆者の報道カメラマン人生は約20年。事件、事故や選挙が主で、モデル撮影会のほんわかした気分は味わったことがない。挑戦してみようかとモデルの陳さんにお願いすると快諾してくれた。照明アシスタントはカメラマンの陳さんだ。だが、撮影を始めると人の目が気になり、照れ隠しにシャッターを切るが集中できない。別の新たなスキルが必要なのか、それとも典型的なシャイな日本人だからか。そんななか、モデルの陳さんはシャッターごとにポーズを変えてアシストしてくれた。

撮影会を終えた陳さんたち

撮影会を終えた陳さんたち

撮影後、話題は政治の話に。2020年の1月、4年に1度の総統選挙を控える台湾では、民進党の蔡英文総統と国民党の韓国瑜(ハン・グオユー)高雄市長が火花を散らす。モデルの陳さんは同性婚合法化を実現させた蔡総統を評価し「どんな人でも自由に生きることができる台湾になってほしい」と話す。それはファインダーのなかの笑顔とは違う真剣なまなざしだった。

(NAR編集部 小林健)

コラム「せかい旬景」は隔週金曜日に公開しています。次回の1月3日は休載します。
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