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「アフガン文書」米紙が報道 政府が戦争劣勢を隠蔽

【ワシントン=中村亮】米国の歴代政権が2001年に始まったアフガニスタン戦争の劣勢を隠蔽した疑惑が浮上している。複数の元政府関係者が軍事作戦の成功を装うため統計データなどが歪曲(わいきょく)されていたと証言する内部報告書が明らかになった。トランプ大統領はアフガン戦争に関与を薄める方針を示しており、米軍のアフガン撤収にいっそう傾く可能性がある。

米紙ワシントン・ポストは12月上旬、アフガン戦争に関する2000ページ以上の米政府の内部報告書を3年以上にわたる法廷闘争の末に入手して報じた。主にブッシュ(子)、オバマ両政権でアフガン政策に関与した政府・軍関係者に加え、欧州諸国やアフガンの政府関係者ら合計600人超が証言に応じた。

報告書はアフガン戦争での米国の劣勢を示すものだ。ブッシュ・オバマ両政権でアフガン担当特別代表を務めたジェームス・ドビンズ氏は「我々は紛争が絶えない国家に侵攻して平和を実現しようとした。それが失敗したことは明らかだ」と断じた。両政権のホワイトハウス元軍事顧問も「(政権内で)アフガン戦争の目的でさえ共有していなかった」と指摘した。

ブッシュ元大統領は01年9月の米同時多発テロを受け、国際テロ組織アルカイダのウサマ・ビンラディン容疑者をかくまったアフガンのタリバン政権と戦争を始めた。現在もタリバンとの和平協議は進展せず、米兵の死者は約2400人にのぼる。米国民の反戦ムードも徐々に高まり、調査会社ギャラップによるとアフガン戦争が誤りとの回答は19年に43%と01年の9%から大きく増えた。

戦争の失敗を認められない歴代政権が実態をゆがめようとした疑いがある。報告書によると、米国家安全保障会議(NSC)高官は16年に「統計は常に都合のいいように歪曲された」と証言した。自爆テロは治安悪化ではなく、米軍を直接攻撃できないほどにタリバンが弱体化したサインと位置づけた。対テロ作戦の元軍事顧問も「あらゆるデータが可能な限り(作戦が)成功しているように修正された」と説明した。

米国で開発援助を担う米国際開発庁(USAID)関係者はアフガン支援資金の90%が無駄だとの見方を示した。教育や医療に資金を投じるほど治安が回復するとの議会や米軍の考えを誤りだと批判。「資金を使うよう指示を受けて目的もなしに資金を使っていた」と説明し、米国民の税金がアフガン再建に直接結びつかない事業に使われた可能性を示唆した。

国防総省は隠蔽を否定する。ホフマン報道官は「我々の政権は国民に対して開かれており透明性のある仕事をするよう努力を続けている」と主張。報告書もいずれは公開するものだと説明した。

1971年にはベトナム戦争の泥沼化を記した機密報告書「ペンタゴン・ペーパーズ」を米メディアが報じ、歴代政権が戦争の成功を誇張していたことが判明した。当時のニクソン大統領は72年のウォーターゲート事件後に米議会の弾劾調査もあり、74年に辞任した。

トランプ氏はブッシュ・オバマ政権のアフガン政策を批判、米軍撤収を繰り返し主張する。同報告書はアフガン政策の失敗を裏付ける資料とトランプ氏がとらえる可能性もある。ただトランプ政権も報告書をこれまで公表してこなかった。

複数の米メディアによると、トランプ政権は週内にもアフガン駐留米軍の削減に踏み切る構えだ。2020年の大統領選に向けて米軍撤収の動きに拍車がかかる可能性がある。

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