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失点ゼロにこだわり オリックス・山本由伸(下)

2019/12/22 3:00
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「宮崎の都城高校にいい投手がいる」との噂を聞きつけ、オリックスのスカウト、山口和男が山本由伸を見にいったのは山本が2年生だった2016年2月。折しもチームは宮崎で春季キャンプを張っており、足を延ばすことにした。

ブルペンでの投球を見てマークに値する素材と感じたが、ほれ込むほどではなかった。評価が急上昇したのは3年生になった5月の試合。140キロ台後半の強い球を内角に出し入れする姿を目の当たりにし、「これは」と確信した。

データ重視の傾向が強まる中、山本は「体の感覚、打者の反応」を重視する=共同

データ重視の傾向が強まる中、山本は「体の感覚、打者の反応」を重視する=共同

同年秋のドラフト会議で4位で指名し入団に至ったが、山口とすれば薄氷の獲得だった。現役時代に158キロの剛球を投げた山口が感じた、同じ速球派の山本の特長は2つ。第一に、球を持つ右手を早くにトップの位置に引き上げ、リリースまでの間をつくれること。第二に、リリース時に力強く球を押し出せること。この2つを兼ね備える投手は「アマチュア球界にはほぼいない」と山口。

それほどの逸材だけに上位指名を強く望んだが、編成上の都合でかなわず。いつ他球団に取られるかと気が気でなかった。4巡目で残っていたのは「奇跡に近い」と山口。高卒2年目でセットアッパーをこなした18年、先発に転向して大輪の花を咲かせた19年の活躍に、山口が獲得時に覚えた安堵感を新たにしたことは想像に難くない。

直球と同じ150キロ台のカットボールを投げる山本は19年、新たにシュートを持ち球に加え、規定投球回到達者で両リーグ唯一の防御率1点台となる1.95でタイトルを獲得。「最も点を取られにくい投手」となったが、「めっちゃうれしいとかはない」。今季20登板のうち、6回以上を投げて自責点3以下のクオリティースタートは16度、7回以上を投げ自責点1以下の好投は実に11度という好成績も、「いつもゼロで抑えたい」山本の心を満たす要素にはならない。

米国発のデータ重視の傾向に拍車が掛かり、弾道測定器がはじき出す球の回転数や回転軸の傾きなどに関心を持つ投手が増えているが、山本は「全然、興味ない」。重視するのはあくまで「体の感覚や打者の反応。見たら分かります」。

昭和の大投手に似た雰囲気を醸す感性の人が「失点ゼロ」以外の数字に興味を示さないのは当然か。その失点ゼロも、内容が伴ってこそと考える。「1試合投げたらだめな球もいっぱいある。全部いい球なら会心の投球。1球もミスせず投げられたら」。完全無欠宣言の裏に、みなぎる自信が見て取れる。=敬称略

(合六謙二)

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