早世の画家・石田徹也、欧米が注目 現代の疎外描き共感

2019/12/17 10:08
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2005年に31歳の若さで死去した静岡県出身の画家、石田徹也さんの個展がスペインと米国で相次いで開かれ、スペインでは約5カ月間で約35万人が来場するほどの注目を集めた。現代社会で義務や時間に追われながら生きる人々の疎外感や閉塞感を独自の感性で切り取った作品に、国境を越えて共感が広がっている。

石田徹也さんの作品を鑑賞する女性(11月15日、米中西部シカゴ)=共同

石田徹也さん((c)TETSU Inc.提供)=共同

塀に囲まれうつろな表情を浮かべる青年、家電用とみられる包装箱に部品のように遺体が収められた葬儀風景――。建築家の安藤忠雄さんが設計したことでも知られる米中西部シカゴのギャラリー「ライトウッド659」では、静寂の中で人々が食い入るように作品を見つめていた。石田さんの作品約70点を集めた個展が10月から開催された。

米中西部ミシガン州から訪れ、日本で暮らした経験もあるという米国人女性(78)は「私たちが社会生活で抱く恐怖心が緻密に表現されており、心を揺さぶられた」と話す。

石田さんは1973年に静岡県に生まれ、20代で頭角を現したが、2005年に踏切事故で死去した。学校や会社などをモチーフに、管理された現代社会を風刺的に描く作風で評価されている。

国際的な知名度は高くなかったが、ピカソの大作「ゲルニカ」でも知られるスペインのソフィア王妃芸術センターで展示企画を担うテレサ・ベラスケスさんが15年、石田さんの作品を見て「こんな画家がいたのかと感銘を受けた」ことがきっかけとなり、今回の巡回展が実現した。

同センターでは今年4月から個展が開かれ、反響を呼んだ。米シカゴでも1日当たり200人以上が訪れた。

シカゴでの展示責任者ジーナ・ポラーラさんは「石田さんが描くのは、インターネットや社会通念に縛られて逃げ場のない現代人の怒りや孤独、悲しみだ。それはどんな社会にも共通している」と普遍性を指摘する。

ベラスケスさんは「今回の個展をきっかけに、より多くの人に石田さんの作品の魅力を知ってほしい」と話している。(シカゴ=共同)

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