日本製鉄とミタル、インド鉄鋼大手の共同買収を完了
日本製鉄と欧州アルセロール・ミタルは16日、経営再建中のインド鉄鋼大手、エッサール・スチールの共同買収を完了したと発表した。買収額はエッサールの債務を含め、5000億ルピー(約7700億円)。日鉄とミタルは2018年3月にエッサール買収で合意したが、現地の裁判などが長期化していた。買収完了で、成長市場のインドの鉄鋼需要を開拓する。
ミタルが6割、日鉄が4割を出資する合弁会社を通じて買収した。日鉄が海外で手掛ける買収案件としては過去最大の投資になる。
エッサールの18年3月期の売上高は2603億ルピー(約4000億円)、粗鋼生産能力は960万トン。積極投資が裏目に出て巨額の債務を抱えた。インドの倒産・破産法のもとで18年2月に入札にかけられたが、その後、入札資格を巡る混乱が続いた。
19年3月にインドの会社法裁判所がミタルと日鉄(当時は新日鉄住金)による買収を承認したが、債権者間の債権分配などをめぐり、最高裁判所で裁判が続いていた。
ミタルのラクシュミ・ミタル会長兼最高経営責任者(CEO)は同日発表したコメントで「(日鉄とミタルの)強みと技術力を組み合わせ、インドの製造業に貢献していきたい」と述べた。日鉄の橋本英二社長も「再建計画を速やかに実行し、さらなる事業拡張を実現する」とコメントした。