中国で英サッカー放映中止 選手のウイグル弾圧批判で

2019/12/16 16:28
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【北京=羽田野主】中国国営中央テレビ(CCTV)は16日未明に予定していたサッカーのイングランド・プレミアリーグの放送で、アーセナル対マンチェスター・シティー戦の中継を中止した。アーセナルのメスト・エジル選手が中国政府の新疆ウイグル自治区に対する政策を批判したことに反発した措置。中国は欧米社会で広がる人権問題への批判には強硬姿勢で臨む構えだ。

アーセナルのエジル選手(右)によるウイグル問題への発言が波紋を広げた(15日の試合前)=ロイター

香港紙などによると、トルコ系でアーセナル所属のエジル選手は13日、ツイッターで「兄弟たちが強制的に収容所に送られている」「(自治区では)コーランが焼かれ、モスクが閉鎖されている」などとトルコ語で訴えた。エジル選手はドイツ代表の選手も務めた。

中国共産党系メディアの環球時報は16日の社説で同選手を「口からでまかせを言い、公共の人物として責任ある発言の一線を越えた」と非難した。中国外務省の耿爽副報道局長は16日の記者会見で「新疆ウイグル自治区で民族は団結し、落ち着いた生活を送っている」と主張した。

一人の選手のツイートに政府と党が反応するのは中国共産党の習近平(シー・ジンピン)指導部が、人権問題を巡る国際世論に警戒を強めている状況を映す。

11月には各国の記者が参加する国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)がウイグル族の弾圧を巡る中国当局の内部文書を明かして欧米で非難の声が強まった。仮に中国国内に動揺が広がれば、共産党の一党支配にも影響が及びかねないとみている。

12月に米下院でウイグル人権法案が可決した際には、中国外交トップの楊潔篪(ヤン・ジエチー)中国共産党政治局員が米国のポンペオ国務長官と電話で協議し「中国への内政干渉を直ちに停止せよ」と要求した。

習指導部は従来も人権問題で強硬措置をとってきた。10月に米プロバスケットボール協会(NBA)のヒューストン・ロケッツの幹部が香港デモを支持するツイートを投稿し、中国国営中央テレビは試合の放送の一部を中止すると発表した。中国外務省は「中国の民意を理解しなければ(NBAは)行き詰まる」と警告し、関連商品はボイコットにあった。NBAは謝罪に追い込まれた。

米国で「香港人権・民主主義法」が成立した際には報復措置として、米軍の艦船が香港に寄港するのを禁止した。米国の非政府組織(NGO)を制裁対象とする方針も示している。

中国国営の新華社によると、中国の楽玉成外務次官は12月5日に「世界では一部の反中勢力があらゆる問題を使って香港、新疆、台湾などの問題でいざこざを起こしている」と主張した。そのうえで、ウイグル人権法案などを挙げて「我々に向かってくる黒い手を断固断ち切り、国の主権を守る」と発言した。

欧米社会の批判を「内政干渉」と位置づけ、習指導部の結束を促す宣伝工作に利用している。

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