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会計ソフトのフリー17日上場、赤字上場への評価占う

個人事業主や中小企業向けにクラウド会計ソフトを提供するフリー(東京・品川)が17日、東証マザーズに上場する。上場時の株式時価総額は発行価格ベースで約930億円と今年の新規株式公開(IPO)市場で2番目の規模となる。米ウィーカンパニーの経営難などで、多額の赤字が続く新興企業への評価は厳しくなっている。先行投資で赤字が続くフリーの上場は、日本のIPO市場の今後を占うものとなる。

フリーの2019年6月期の最終損益は主力の会計ソフトの開発投資がかさみ、27億円の赤字だった。日本で今年上場する86社のうち17%に当たる15社が最終赤字だった。割合は年々増えており、過去10年間で最も高い水準だ。

フリーは赤字縮小が課題に

欧米では赤字上場は過半を超える。QUICK・ファクトセットによると、19年の新規上場のうち米国は73%(11月末時点)、欧州では55%(同)が赤字上場だった。米国では10年で2倍に増えている。

上場前の想定時価総額が10億ドル(約1100億円)を超える「ユニコーン企業」でも赤字は当たり前だ。3月に上場した米配車アプリ大手リフトの18年12月期の売上高は前の期比2倍の21億ドル(約2200億円)だった一方、最終赤字は3割増の9億ドルだった。

赤字上場が増えたのは、企業や投資家が当面の利益よりも将来を見据えた先行投資を重視する考えを強めたからだ。米アマゾン・ドット・コムは1997年の上場後、6年間最終赤字が続いたが、最終的に時価総額で世界有数の企業に成長した。ネット業界は少数の企業が市場をほぼ独占する傾向があり、IT企業を中心に先行投資に拍車がかかる。

ベンチャーキャピタルなども「第2のアマゾン」を逃すまいと赤字に目をつぶり資金を投入してきた。カネ余りも追い風となり、利益が伴わないまま、未上場時の評価がどんどん高まった。

ただウィーカンパニーのように、一般投資家が許容できないレベルまで上場前の評価額が高まる企業も出てきた。米ルネサンス・キャピタルは「成長が鈍化し、収益化が見えない状態で上場する企業は多い」と分析する。

リフトのほか今年上場したビジネス対話アプリの米スラック・テクノロジーズも当面の黒字転換が見通しにくい状況だ。両社とも足元の株価は初値からほぼ5割安に沈む。

赤字企業に対する投資家の見方の変化を受けて、日本では採算を重視する戦略への転換を目指す動きが出ている。フリーは16日、個人事業主向けサービスの値上げを公表した。13日には年4万7760円の法人向けの基本プランの機能を一部制限し、年47万7600円のプロ向けプランへの移行を促す措置を発表したばかりだった。auカブコム証券の山田勉マーケットアナリストは「上場環境の厳しさを受けて、収益化への道筋を投資家に示そうとしたのではないか」と推測する。

今年最大の新規上場だった名刺管理ソフトのSansanは10月15日、7月に続いて20年5月期の最終黒字転換見通しを発表した。「利益拡大のフェーズに入った」(野村証券)などと評価され、6月の上場後伸び悩んできた株価は上向きつつある。

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