終末期、家族で話し合いを ポスター炎上で新たな動き

2019/12/16 10:50
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病気などで回復の見込みがなく死期が迫る終末期にどのように過ごしたいか、事前に家族らと話し合う「人生会議」を啓発する厚生労働省のポスターが先月撤回された。「患者や遺族への配慮不足」との批判を受けたためだ。騒動を機に、SNS(交流サイト)上では「年末年始の帰省など家族が顔を合わせるタイミングは良い機会」と、新たなポスターを独自に作る動きが出ている。

オレンジホームケアクリニックが独自に作成した「人生会議」のポスター=同クリニック提供・共同

オレンジホームケアクリニックが独自に作成した「人生会議」のポスター=同クリニック提供・共同

本人が望む治療やケアについて家族らと話し合うことは「アドバンス・ケア・プランニング」と呼ばれる。厚労省は昨年秋、普及啓発のために「人生会議」という愛称を付け、公表した。

ポスターは吉本興業に委託して作製。お笑い芸人の小籔千豊さんが病院のベッドに横たわる写真で、元気なうちに家族と十分に話し合えていなかった後悔を「もっと早く言うといたら良かった」と訴えた。母親を亡くした小籔さん自身の経験も踏まえたが、患者団体などが「闘病中の人に『人生の最後はつらい』とのイメージを与える」と抗議。厚労省は公表した翌日に撤回し、自治体への配布を中止した。

騒動で思わぬ余波も。ポスター炎上後、ツイッター上には「家族で話し合っておくことは大切だ」という投稿が相次ぐ。「#勝手に人生会議ポスター」などとのハッシュタグ(検索目印)を付け、思い思いのポスターを作製してアップする動きも活発になっている。

在宅医療専門のオレンジホームケアクリニック(福井市)も数種類作製して投稿した。うち1枚は肺がんで亡くなった男性と家族のエピソードだ。バイクにまたがる男性の写真を背景に、亡くなる直前に娘のソフトボールの試合を応援した思い出を紹介。家族の思いをつづっている。

SNSで発信した紅谷浩之医師は「厚労省のポスターは配慮が足りなかったが、結果的に多くの人が『人生会議』を知ることになった」と話す。

その上で「結論を急がず、話し合うプロセスが大切。死ぬ時にどうしたいかだけでなく、普段から大事にしていることや好きなものについて話していれば、最期までその人らしく過ごせる」と呼び掛けている。

〔共同〕

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