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靴磨きで障害者輝く社会を 京都の専門店、若者ら挑戦

京都市役所近くの靴磨き専門店「革靴をはいた猫」で、知的障害や発達障害のある若者らが店長や職人として働いている。運営会社社長の魚見航大さん(25)は「彼らの姿を見て、自分も挑戦したいと思ってもらえれば」と、障害があっても誇りを持って輝ける社会の実現を目指す。

「指でクリームを付けることで、どこが乾燥しているかが分かります」。店長で知的障害のある藤井琢裕さん(28)が、カウンター越しに説明しながらてきぱきと靴を磨き上げていく。人通りの多い御池通沿いの店には、つや出しに使うウイスキーやブラシが並び、客から預かった30足もの革靴がずらりと陳列されている。

魚見さんは龍谷大に在学中の2015年、学内のカフェで働いていた藤井さんら障害者と出会った。自立したいとの思いを知り「手に職があれば良いのでは」と靴磨きに着目。他の学生と大阪市の靴磨き専門店に通って修業を積み、藤井さんらに教えた。教授や親から資金の支援を受け、17年3月に起業した。

10分間のベーシックコースは1足1100円。当初は出張サービスだけを行っていたが「なじみがなかったためか、最初は断られた」と振り返る魚見さん。それでも地元企業に営業を重ねるうちに「会議で席を外している間に磨いてほしい」などの依頼が増加。これまで30社以上から注文があり、一度に70足もの靴を任されたこともある。

昨年2月には実店舗をオープン。見習いとして働いていた藤井さんと発達障害のある丸山恭平さん(27)を正社員として雇用した。手入れの間にカウンターでおしゃべりを楽しんでいく人もおり、「家での磨き方を尋ねられることが多い」と藤井さん。仕上がりを見た客から「『新品のようになった』と言われた時が一番うれしかった」と笑顔を見せる。

現在は2人の他にも障害のある5人が見習いとして働く。「彼らが挑戦する姿に勇気をもらう」と魚見さん。「靴磨きを通じ、世の中に喜びを与え、分かち合える存在になってもらいたい」と願っている。〔共同〕

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