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小米、スマホ日本参入 SNS旋風再現難しく

日本市場への参入について発表する小米の王士豪・東アジア地域担当ゼネラル・マネージャー(9日、東京都港区)

中国のスマートフォン大手、小米(シャオミ)が日本市場に参入した。2010年の創業から5年ほどで世界有数のスマホメーカーに育った小米は、中国のニューエコノミーを象徴する存在だ。しかし奇跡的な成長を遂げた背景を理解していれば、小米が日本市場で成功を再現するのは難しいことがわかる。

「今から全てをお伝えしてまいります!」。小米の日本公式ツイッターは9日、東京都内で開いた日本市場参入の発表会を現場の写真付きで実況中継した。この日だけで50本以上もの関連情報を載せ、ガジェット(目新しい電子機器)好きのユーザーの転送(リツイート)を誘った。

「参与感(参加している感覚)」。小米が急成長していた14年、マーケティング担当役員が出版した本の題名だ。副題は「小米の口コミマーケティングの内部ハンドブック」。小米の飛躍の原動力となったネットの活用手法を事細かに解説し、話題になった。

小米の経営陣がSNSマーケティングを解説した14年出版の本

当時の中国は独自のミニブログ「微博(ウェイボ)」が定着し、対話アプリ「微信(ウィーチャット)」が急速に普及していた時期。小米は派手な発表会を実況中継したり、ファンクラブを組織したりと、これらのSNS(交流サイト)をフル活用した。ユーザーの若者が小米の成長に関与したと思えるようなネタでリツイートを呼び、異例なほどの短期間でブランド力を高めた。

小米のスマホ事業では現在、インドが中国を抜き、国・地域別で最大の市場となっている。インドでの成長も16年ごろ、米アマゾンと現地大手フリップカートがネット通販市場で割引合戦を繰り広げていたのにうまく乗ったことが大きい。小米が自らをスマホメーカーではなく「モバイルインターネットの会社」と位置づけるのは、このためだ。

小米は現時点で、90以上の国・地域で販売実績があり、インドのほかミャンマー、インドネシアなど42カ国・地域のスマホ市場でシェア5位以内に入っているという。規模の小さな海外市場はネット販売で実績を作っているようだ。

「台風に乗れば、豚でも飛ぶことができる」。小米の雷軍・董事長兼最高経営責任者(CEO)は「参与感」に寄せた巻頭の辞で、自社のマーケティング手法をこう評している。台風とはネットでの評判、豚とは小米を指す。豚自体に飛ぶ力はないが、ネットでブームを呼べば予想もつかない飛躍ができるとの例えだ。小米が9日の発表会をツイッターで実況中継したのは、この成功体験を反映しているとみていい。

しかし中国でも16年以降はこの手法が新鮮味を失い、小米は「小米之家」と呼ぶ実店舗を全国展開することで業績を安定させた。いわば「普通のスマホメーカー」の販売手法に軸足を移した。14年の中国で有効だったSNSマーケティングが、19年の日本で通用するとも考えにくい。

日本では一般に、中国ブランドは好感度が低い。スマホ市場では、米国も警戒する技術力を誇る華為技術(ファーウェイ)と人気タレントをテレビCMに起用するOPPO(オッポ)の中国2社が市場シェア拡大を目指しているが、上位5社に入っていない。米アップルと地元メーカーが高いシェアを保つ世界でも特異な市場だ。

「日本の消費者はイノベーションを受け入れてくれる」。小米側は発表会で、日本に投入する高級スマホ「Mi Note 10」の搭載カメラの性能や値ごろ感を強調した。しかしガジェット通でなければ、ファーウェイやOPPOのスマホとの違いは分かりにくい。ならば、普通の中国スマホメーカーとして地道に他社からシェアを奪っていくしかない。つまり、奇跡の急成長は起こらない。

(アジアテック担当部長 山田周平)

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