制裁関税下げ、米消費者に配慮 交渉継続へ圧力も

2019/12/14 23:00
保存
共有
印刷
その他

トランプ米政権は中国との「第1段階の合意」の見返りとして、対中制裁関税「第4弾」の発動済み分の関税率を7.5%に半減する一方、それ以前に課した第1~3弾(2500億ドル分)への25%の追加関税は維持した。米消費者への悪影響を和らげつつ、「第2段階」の交渉へ中国に圧力をかけ続ける思惑が見え隠れする。

トランプ政権は産業補助金など中国の構造問題に取り組む第2段階の交渉入りを目指すが、中国には2020年11月の米大統領選後への先送りをもくろむ声もくすぶる。米の対中強硬派には「制裁関税を手放すべきではない」との声が強い。

19年1~10月期の米国の対中輸入は第1~3弾に限ると31%も落ち込み、家具や産業機械など対象品をつくる中国企業は苦境にある。米通商代表部(USTR)のウェンディ・カトラー元次席代表代行は「25%関税の維持は中国を第2段階の交渉に引き込むための呼び水になる」と指摘する。

トランプ政権は18年7月から「中国への打撃が大きく、米国への影響が小さい製品」(USTR)を選んで順に制裁関税を課してきた。中国への輸入依存度は第1弾から第3弾までそれぞれ6%、13%、21%だ。米企業は代わりの調達先を比較的見つけやすい。

関税率の半減を決めた第4弾の9月発動分(1200億ドル分)は対中依存度が21%と第3弾と変わらないが、米ピーターソン国際経済研究所によると、衣服や靴など中国から輸入する消費財の40%が9月分に含まれ、関税増による米消費者への影響が出やすい。

15日に予定した第4弾の残り(1600億ドル分)の発動を見送った理由も明白だ。消費財が多いうえに輸入の対中依存度が9割と飛び抜けて高く、発動すれば米国への副作用が大きいためだ。

代表的なのがスマートフォンだ。18年の対中輸入額は約430億ドルで依存度は8割に上る。「iPhone」で米国市場の4割強のシェアを握る首位アップルはほぼ全量を中国で組み立てており、関税が課されれば1台当たり最大100ドルのコスト増になるとの試算もあった。米シェア2位の韓国サムスン電子はベトナムなど中国以外からの輸入を増やしていた。

ただ発動を見送った第4弾の影響は既に出ており、今後も尾を引きそうだ。ノートパソコンでは関税増を避けるために在庫を積み増す「駆け込み輸入」が発生。トランプ氏が発動を予告した4~6月期の対中輸入は前年同期比10億ドル増えたが、7~9月期は逆に9億ドル減った。米HPやデルは既に中国国外への生産拠点の移管を検討しており、関税見送りでも減少が続く可能性がある。

(ワシントン=鳳山太成、北爪匡)

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]