近畿景況感、一段と悪化 製造業は米中摩擦響く
12月短観

2019/12/13 20:35
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関西の製造業の景況感が一段と悪化している。日銀大阪支店が13日発表した近畿2府4県の12月の企業短期経済観測調査によると、製造業の業況判断指数(DI)は前回の9月調査を3ポイント下回るマイナス6だった。全国のマイナス4を下回り、2020年3月の先行き見通しもマイナス10と全国(マイナス7)との差がやや広がる。

DIは業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。

なかでも関西を代表する電気機械はマイナス13だった。「米中貿易摩擦の影響は不透明感が増している」とパナソニックの梅田博和取締役常務執行役員。同社の19年4~9月期の連結営業利益は前年同期比28%減った。中国で設備投資が冷え込み、ファクトリーオートメーション(FA)関連のセンサーなどが苦戦した。

中国景気の影響を受けやすい素材では関西ペイントも現地での新車販売の低迷を受け、自動車向け塗料が落ち込んだ。こうした状況をうけ、山陽特殊製鋼の八並敬之執行役員も「厳しい状況で早期回復は見込めない」と漏らす。ベアリングに使う主力の軸受け鋼などの出荷量が減少。需要減が工作機械や半導体製造装置向けから自動車向けへと広がっている。「海外子会社への設備投資は慎重に検討する」考えだ。

大企業以上に中小企業は厳しく、DIはマイナス12だった。機械装置向けの板金加工、山田製作所(大阪府大東市)は自動車業界などからの注文が大幅に減り「米中貿易摩擦が落ち着くまで厳しい状況が続く」(山田雅之社長)。

非製造業のなかで小売りは消費増税の反動などでマイナス5だ。マイナスは6月調査以来。ドラッグストアのキリン堂ホールディングスの10月の既存店売上高は前年同月比13.2%減った。洗剤や化粧品の売り上げの落ち込みが目立った。頼みの訪日客需要も一部で減少がみられる。11月は関西の主要百貨店9店舗中7店舗で免税売上高が前年水準を下回った。主力の中国人向けが元安や代理購入の取り締まり強化の影響を受けた。

■2016年9月以来の低水準

全産業はプラス2と前回調査から3ポイント悪化した。4四半期連続の悪化で、16年9月以来の低水準となる。全国を2ポイント下回り、3カ月先見通しでは、マイナス3と全国(ゼロ)との差がさらに広がりつつある。

19年度の設備投資計画では製造業が10.7%増、非製造業は3.8%増といずれも前回から下方修正となった。

■半導体関連で需要回復の兆し

もっとも半導体・電子部品関連では底打ちの兆しもみられる。電気機械の先行きはマイナス8と5ポイント改善する見通し。電子部品では次世代通信規格「5G」に使われる通信関連部品などの需要が立ち上がり始めている。村田製作所の村田恒夫会長兼社長は「中国を中心に基地局向けの動きが出始めている」と話す。半導体材料の洗浄装置で世界首位のSCREENホールディングスも「需要は来年の春くらいにも本格的に戻ってくるのではないか」とみている。

 三菱UFJ銀行経済調査室吉村晃調査役
 今回の短観では電気機械業の景況感低下が続いた。半導体サイクルの回復が当初の想定よりも後ずれしているためだ。半導体など電気機械の比重が大きい関西の景況感の明確な底打ちはもう少し先になるのではないか。
 一方、関西の設備投資は底堅い。土地投資額を除く設備投資額では関西は全国を引き続き上回っている。次世代の通信規格「5G」関連などの研究開発に伴う設備投資は今後も出てくるだろう。

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