河瀬直美監督作品、国内で初の大規模特集上映
12月24日から、国立映画アーカイブで

文化往来
2019/12/23 2:00
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映画「かたつもり」(C)kumie inc.

映画「かたつもり」(C)kumie inc.

初の長編映画「萌(もえ)の朱雀」で仏カンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督賞)を受賞するなど、かねて国際的に評価され、2020年の東京五輪では大会公式映画の監督をつとめる河瀬直美監督。国立映画アーカイブ(東京・京橋)は12月24日から「映画監督 河瀬直美」と題して、国内初となる河瀬作品の大規模な特集上映を開催する。

「萌の朱雀」(1997年)のほか、作品にたびたび登場する養母の「おばあちゃん」を被写体にしたドキュメンタリー「かたつもり」(94年)、カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した「殯(もがり)の森」(2007年)など31作品を上映。大阪写真専門学校(現・ビジュアルアーツ専門学校)時代の短編や、是枝裕和監督との8ミリフィルムを使った往復書簡「現(うつ)しよ」(96年)、35ミリフィルムで上映する「火垂(ほたる)」(00年)など、鑑賞機会の少ない貴重な作品もラインアップされている。

映画「殯の森」(C)KUMIE/Celluloid Dreams Production/Visual Arts College Osaka

映画「殯の森」(C)KUMIE/Celluloid Dreams Production/Visual Arts College Osaka

河瀬監督は「映画で時間をとじこめたい」との思いで映画を作り続けてきたと語る。「ずっと続けばいいのにと思える楽しい時間、死んでほしくないおばあちゃんとの時間。そんな時間が、映画によってもう一度目の前に現れる。それは自分にとってタイムマシンのようなもの」と明かす。18歳で専門学校に入学してフィルムカメラを初めて手にした時、日常をどうとらえるか、という意識が生まれたという。「カメラを向けるということは時間を立ち止まらせる行為で、その積み重ねが作品になる。その時代時代に、自分自身が見つめてきたものが確実にあると感じている」

ふるさとの奈良、高齢の養父母に育てられた自らの境遇などを背景に、自分自身や家族、他者との関係を見つめ、生や死、命をつなぐことを描いてきた。特集上映によってその一貫した視点を感じることができそうだ。監督が生き別れた父を探すドキュメンタリー「につつまれて」(92年)は、「上映後に(映画の作り手である)自分をしっかり見つめてくれるお客様(観客)がいた」ということを実感した作品という。「映画には人間同士を向き合わせる力がある。人と人が強く確実につながりあえるメディア(媒体)なんだと思った」と振り返る。「映画監督 河瀬直美」は国立映画アーカイブ・長瀬記念ホール OZUで、12月24~27日、2020年1月4~19日開催。

(関原のり子)

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