製造業の景況感「悪い」超に 12月の九州・沖縄短観

2019/12/13 18:04
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米中貿易摩擦や消費増税の影響で、九州・沖縄企業の景況感が悪化している。日銀福岡支店が13日発表した12月の企業短期経済観測調査(短観)で、製造業の業況判断指数(DI)はマイナス2となり、6年半ぶりに「悪い」が「良い」を上回った。非製造業も4ポイント悪化した。先行きは一段の悪化が見込まれ、企業マインドに影を差している。

九州の製造業の現場では経済の減速を懸念する声が多く挙がる

九州の製造業の現場では経済の減速を懸念する声が多く挙がる

DIは景況感が良いと答えた企業の割合から、悪いと回答した企業の割合を差し引いた値。九州・沖縄の全産業では前回9月の調査から4ポイント低いプラス9となった。熊本地震発生直後の2016年6月以来の低水準だ。

製造業は4ポイント悪化した。トヨタ自動車九州(福岡県宮若市)で19年度上期の生産台数と売上高が過去最高になるなど、これまで好調だった自動車などの輸送用機械が急低下したことが影響した。同業種は19ポイント低下のプラス3だった。

「メーカーからは海外経済減速で業況が悪化しているとの明確な声が聞かれる」(熊本支店)との指摘があった。

輸送用機械とともに九州の主力3業種を構成する、はん用等機械と電気機械も引き続き悪化した。

機械商社のリックスは、中国などで製造する工作機械部品が米中貿易摩擦の影響などを受け、中国や米国市場で販売が落ち込んだという。工場の自動化や無人化で関連需要は高いが、安井卓社長は「中国での投資には慎重にならざるを得ない」と懸念を示した。

総合機械商社、南陽の武内英一郎社長は「メーカーがスマホ向け設備の新設に慎重で、組み立てロボットや半導体向け機器の引き合いが弱まっている」と指摘する。ロボットなどを扱う同社の産業機器事業の19年度上期の利益は前年同期から半減した。

安川電機の小笠原浩社長は「設備投資は底をはっているイメージ。7~8月が底で9~11月に上がるムードかとみていたが、中国がまだ動かない」と慎重にみている。米国が対中制裁関税を緩和する見通しがある中、「中国企業は例年、春節明けに投資予算を固めて発注してくるため、年明けの動向がどう上向くか注視している」と話す。

非製造業のDIは4ポイント低下のプラス14だった。小売りでは10月の消費税率引き上げを受け、マイナス5と13ポイント悪化した。9月調査時点では7ポイントの悪化にとどまるとの予想だった。「駆け込みと反動減の規模は14年の消費増税時より小さいが、マインドに与える影響は大きかった可能性がある」(福岡支店の宮下俊郎支店長)と警戒する。

九州全域で総合小売店を展開するイオン九州の柴田祐司社長は10月の記者会見で「ポイント還元制度の恩恵を受けられる中小スーパーに顧客が流出する可能性もある」と述べていた。ただ同社は足元、消費の落ち込みは回復傾向にあるという。

日韓対立や中国の人民元安進行で、インバウンド(訪日外国人)需要が低迷することの影響も出た。旅行業などを含む対個人サービス、宿泊・飲食サービスはそろって3ポイント悪化した。宮下支店長は「影響は拡大している」と指摘した。

3カ月先の見通しは製造業で1ポイント悪化のマイナス3、非製造業は5ポイント悪化のプラス9となった。ただ、電気機械が5ポイント改善のプラス1を見込んでいることなどから、北九州支店の梅田秀彦支店長は「他地域より早く持ち直す可能性も出てきた」との見方を示した。

調査は11月13日~12月12日に実施し、1130社から回答を得た。

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