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失業給付、受給資格期間延ばす 病気・育児なら4年

ハローワークで職を探す人たち(東京都港区)

会社を退職し、次の仕事を探している間に受け取れる失業給付(基本手当)。雇用保険の加入期間や退職理由によって受給日数が決まっている。受給資格があるのは退職日の翌日から原則1年以内だが、病気や出産などによってすぐに職探しができなければ延長を申請できる。仕組みを見てみよう。

受給資格期間は原則1年

失業給付を受け取れる条件は2つある。原則、退職前の2年間に通算して12カ月以上、雇用保険に加入していること、ハローワークで求職を申し込み、仕事が見つかればすぐに働けることだ。

例えば雇用保険に10年加入していた人が自己都合で退職すると、120日分の失業給付を受けとれる。受給資格があるのは退職日の翌日から原則1年なので、退職後、遅くとも8カ月内には求職活動を始めないと120日分をフルに受け取ることができない。

病気やけが、出産・育児などの理由で、すぐに求職や就職ができない人が知っておきたいのが、受給資格期間の延長だ。ハローワークで申請すれば最長4年まで延長できる。その間に生活が落ち着き、就職できる状態になれば失業給付をもらいながら、仕事探しを始められる。

休業補償受給でも可能

総務省の2017年の調査によると、出産や育児を理由に5年以内に退職をした人は約102万人、親族の介護・看護を理由に1年以内に退職した人は約10万人にのぼった(グラフA)。こうした人の中にはすぐに仕事につけない人も少なくないだろう。

延長申請ができる理由はいくつかある(表B)。病気やけがをして健康保険の傷病手当、労災保険の休業補償を受け取っていても可能だ。

けがを理由に延長申請する一例を図Cに示した。このケースでは6カ月の療養期間中、職探しができないとする。退職日の翌日から30日を過ぎてからハローワークに行き、6カ月の延長を申請すると、本来の受給資格期間1年に延長分が加わり、1年6カ月に延びる。この間にけがが治って求職活動を開始すれば、所定の日数分の失業給付が受け取れる。

注意点は、自分がもらえる失業給付の日数が、受給期間内に納まるように求職活動を始めることだ。例えば、給付日数が90日分ある人が、受給期間の残りが60日になってから求職活動を始めると、差し引き30日分の失業給付をもらい損ねてしまう。社会保険労務士の中村恭章氏は「受給期間満了日を意識して求職活動を始めたい」と話す。

教育訓練給付金も延長

病気や育児などで退職した場合は最長4年まで延長できるが、60歳以降に定年などで退職し、休養してから仕事探しをしたいという人は最長2年。申請期間も退職日の翌日から2カ月以内だ。

実は、受給期間の延長申請をすると、教育訓練給付金の適用期間も延長される。

教育訓練給付金制度とは、資格取得の費用の一部を雇用保険で補助する制度で、在職中の会社員だけでなく、退職した人も利用できる。資格取得講座の受講開始日が退職日の翌日から1年以内であれば、給付金の支給対象になる。

同制度は18年1月から、病気やけが、妊娠や出産、育児(18歳未満の育児に限る)などを理由に退職した場合は、退職日の翌日から最長20年まで延長できるようになっている。出産・育児のために退職後、子育てが一段落してから、再就職のために資格学校で学びたいという人などが利用できる。

さらに、今年10月からは新たに「特定一般教育訓練給付」という枠組みもできた。社会ニーズが高く早期のキャリア形成に役立つ講座について、受講費用の4割(上限年40万円)まで給付するもので、行政書士や社会保険労務士、IT(情報技術)資格など約150講座が対象になっている(10月時点)。

病気や育児などですぐに求職活動ができなくても無理して焦ることなく、まずは資格期間を延長して、自分にあった仕事をみつけるようにしてもいいかもしれない。

(川鍋直彦)

[日本経済新聞朝刊2019年12月14日付]

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