瓦で雑貨、「いぶし銀」アイデア光る 一ノ瀬瓦工業

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山梨
2019/12/15 18:00
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瓦屋根の工事を請け負う一ノ瀬瓦工業(山梨県笛吹市)は、瓦で作った雑貨の輸出を始めた。コーヒーカップ、皿、箸置きを香港の業者に卸している。いぶし瓦の表面のように銀色に鈍く光り、日本の伝統に根付いた風合いに海外バイヤーが目を向ける。海外では瓦屋根の工事も引き受けながら、「KAWARA」文化を発信する。

瓦の素材でつくった「icci KAWARA PRODUCTS」の商品

瓦の素材でつくった「icci KAWARA PRODUCTS」の商品

香港のギフトショップに雑貨を納め始めたのは2018年だ。インスタグラムを通じて注文が入った。「日本のいい商品を発掘していて気に入った」

取引は5~6種類で「瓦のプレート―L」(大皿で4950円)、「瓦のマグカップ―L」(2530円)など。いぶし瓦の表面の濃い銀色「いぶし銀」の艶を魅力として打ち出す。香港側は、日本の伝統を新しい形に変えたところを気に入っているようだった。

一ノ瀬瓦工業は16年に雑貨シリーズ「イッチ・カワラ・プロダクツ」を売り出し、ドリッパーや表札、果物の置物も扱う。思わぬ取引となったのはスターバックスコーヒージャパンのキャンペーン用マグカップ。独特な存在感に興味を示したのは外資系企業だ。

一ノ瀬瓦工業の従業員は10人。アイデアはあってもすべて自前ではこなせない。ニューヨークや台湾の大規模展示会には現地の業者を通じて出展してきた。

デザインの多くは一ノ瀬靖博社長が考える。製作は兵庫県の淡路島や埼玉県、愛知県の鬼瓦の工房に委託している。雑貨販売額は年間数百万~数千万円だが、日本で当たり前の存在でも海外から見れば新鮮という素材や商品はまだある。

雑貨だけでなく本業でも海外の仕事が舞い込む。13年に初めて海外から瓦屋根工事の依頼を受けた。米カリフォルニア州の寺からだった。契約までに6年を要したが、その事業に参加していた建築家に、エール大のプロジェクトの関係者がいた。

米エール大のプロジェクトに参加した一ノ瀬靖博社長(中)(2015年10月)

米エール大のプロジェクトに参加した一ノ瀬靖博社長(中)(2015年10月)

15年、米エール大学がアートギャラリーの中庭に日本建築を建てる「ジャパニーズ・ティー・ゲート・プロジェクト」に瓦屋根担当として一ノ瀬社長(当時専務)が招かれた。現場で瓦は「ルーフタイル」と呼ばれていたが、一ノ瀬社長は「KAWARA」で押し通した。

瓦を一枚一枚加工し、地上に並べて端の線をそろえて直線や曲線を作り出す作業の後、一挙に屋根に載せる。瓦独特の積み方で仕上げた屋根が高い評価を得た。

このプロジェクト以降、米国ではカリフォルニアやフロリダなどで毎年、瓦屋根工事の受注がある。着物やすき焼きがアルファベットで通じているように、今からでも瓦が「KAWARA」になると一ノ瀬社長は考えている。

会社概要 1916年創業。2016年に瓦で雑貨を作るプロダクト事業部を発足させ、そのカップなどを使ったコーヒーショップを19年に開いた。同年の売上高は約1億2千万円。

(甲府支局長 内藤英明)

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