イスラエル、再やり直し総選挙3月に 中東混乱拍車も
ネタニヤフ氏、続投固執

2019/12/12 20:52
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【エルサレム=飛田雅則】イスラエルで2度目のやり直し総選挙が2020年3月に実施されることになった。9月の再選挙後の連立協議が失敗し、国会(定数120)が首相候補の擁立を目指したが、11日に不調に終わった。汚職で起訴されたネタニヤフ首相は続投に固執し、右派の支持を高めるため、敵対するイランやパレスチナへの強硬姿勢を強める可能性がある。中東の不安定要因が増えそうだ。

ネタニヤフ首相(左)とガンツ元軍参謀総長=ロイター

総選挙は4月にもあり、同国で初めて1年で3回目の実施となる。ネタニヤフ氏が党首を務める右派リクードは9月のやり直し総選挙で第2党に転落しており、第1党への返り咲きを目指す。レバノンやシリアにあるイランの軍事拠点や、パレスチナの過激派組織に軍事攻撃を仕掛け、国内の右派の有権者に支持を呼びかけるのが常とう手段だ。

9月に第1党となった中道野党連合「青と白」はガンツ元軍参謀総長を引き続き首相候補に据え、3月の総選挙での勝利を狙う。ネタニヤフ氏が11月に収賄罪などで起訴されたことを受けて、ガンツ氏は「首相は辞任して、裁判で争うべきだ」と主張した。国民からネタニヤフ氏への辞任要求も高まっている。ガンツ氏の「青と白」は支持拡大のため、ネタニヤフ氏支持で結束するリクードへの批判を強める戦略をとるとみられる。

イスラエルの法律によれば、首相は起訴されても有罪が確定するまで辞任する必要がない。ネタニヤフ氏の首相在任は計13年を超え、イスラエルが1948年に建国してから最長となる。トランプ米政権の強い支持を受けており、続投へ強気な姿勢をみせる。

トランプ政権にとって、パレスチナへの姿勢がリクードより柔軟にみえる「青と白」の指導部よりも、イスラエルの「生存」を最優先するネタニヤフ氏の政権が続く方が望ましい。支持基盤であるキリスト教保守派はトランプ氏に対して、イスラエルに肩入れする政策を求めている。20年の米大統領選で再選を目指すトランプ氏は、こうした事情を無視できない。

ネタニヤフ氏は2度目のやり直し総選挙が正式に決まる前から、イランやパレスチナに対する強硬姿勢を示してきた。11月下旬、シリアのダマスカス近郊にあるイラン革命防衛隊の軍事拠点に大規模な空爆を実行した。

1日にはヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ヘブロンにあるユダヤ人入植地を拡大するよう指示した。入植地は事実上の占領地だ。米政府もオバマ前政権までは国際法に抵触するとの立場だったが、ポンペオ米国務長官は11月、「国際法に反しない」という新たな見解を示した。ネタニヤフ氏への明確な支持と受け止められている。

ネタニヤフ政権が今後も強硬策を重ねれば、足元で広がる中東の混乱に拍車をかけるのは必至だ。イラクでは生活苦や汚職撲滅を訴える反政府デモが続き、治安当局との衝突でこれまでに400人以上が死亡した。レバノンでもデモが広がり、首相が辞表を提出した。

イスラエルの有力メディアは来年3月の総選挙について、現時点で「青と白」が優勢と予測する。ネタニヤフ氏の起訴がリクードの足を引っ張っているとの見方がある。ネタニヤフ氏は逆風を跳ね返すため、あえて周辺との緊張を高めて強硬姿勢を示す戦略をとっており、地域の混乱をさらに深めかねない。

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