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手堅く豪快に レスリング文田、グレコ36年ぶり頂点へ

Tokyo2020
2019/12/12 18:00
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1952年ヘルシンキ大会以来、ボイコットした80年モスクワを除いて全ての五輪でメダルを獲得してきた伝統の男子レスリング。ただ、上半身の攻防のみで競うグレコローマンスタイルの金メダルは84年ロサンゼルスを最後に遠ざかる。空白を破る期待がかかるのが、今年2度目の世界王者に就いた60キロ級の文田健一郎(ミキハウス)だ。豪快な「そり投げ」を武器にする23歳は、本番に向けて虎視たんたんとスケールアップを図る。

2017年に続き、今年9月の世界選手権で2度目の頂点に立った文田

2017年に続き、今年9月の世界選手権で2度目の頂点に立った文田

「17年(の優勝)はただ勢いだったけど、今回は一つひとつ細かく丁寧に作り上げてきたものが形になった」。9月、カザフスタンの世界選手権で優勝した達成感は、グレコで日本勢として34年ぶりに頂点に立った初戴冠のときを超えるものだったという。

目の前の試合をしゃにむに勝ち上がったのが2年前。しかし、代名詞のそり投げは当時から徹底マークに遭っている。「作り上げてきた」のは主武器を封じられても手堅く勝ちきる戦いだ。

今年は3回戦で強豪タスムラドフ(ウズベキスタン)をテクニカルフォール(TF)。磨いてきたが海外には知られていないグラウンドでのローリングがさえた。準決勝は、この試合まで右側のみに回していたローリングを突如左にも切り返した。「トップは出した技を次の試合ですぐに対策される」。裏をかく戦いでTFに持ち込み、決勝も前年王者のエメリン(ロシア)を逆転した。

見た目が派手なそり投げは「グレコの大きな魅力」

クレバーな組み立てで早々と五輪切符も手にした。秘策もさらけ出し「今できることは全部出し切った」と振り返る。来夏も"現状維持"で勝てるほど甘くないのは分かっている。代表争いから解き放たれ、「海外勢の対策を練りつつも、得意な技を伸ばす」。そり投げを軸にした戦い方の幹を、さらに太くする時間はたっぷりとできた。

強豪校の山梨・韮崎工高で監督を務める父、敏郎さんの下、中1で始めたそり投げは「練習した本数は日本一、世界でもトップじゃないか」と自負を持つ。背中がマットにつきそうな状態から相手を引っこ抜くように投げる。独特の柔軟性を生かし「決まった形に組めれば、足を相手の足の中に入れても、外から回してでも投げられる」と自信は揺るぎない。

しかし、今は前段となる胸と胸を合わせる体勢になかなかさせてもらえなくなった。頭を下げて肩を出し、脇を閉じた相手は「攻める気持ちはない。防御だけ」。だが、首尾よくグラウンドに持ち込まれれば望んだ展開とはいえなくなる。

中1で始めた豪快なそり投げを武器に戦う

中1で始めた豪快なそり投げを武器に戦う

世界の包囲網をどうかいくぐるか。フェイントの技を増やしたり、入り方のバリエーションを工夫したりと様々なアプローチを試みる。それでも「見た目が派手でグレコの大きな魅力」というそり投げへのこだわりを捨てるつもりはない。「最後はそり投げにつなげられる技を磨いていく」

12年ロンドン五輪で父の教え子でもある米満達弘が金メダルを獲得した姿を現地で観戦したのが、文田の"原体験"になっている。「東京ではスタンドの技、グレコの魅力を存分に出して、国旗を背負ってウイニングランをしたい」。豪快なそり投げを決め、スポットライトを浴びる道筋を今、しっかりと描き出している。

(西堀卓司)

全日本選手権19日開幕 五輪代表へ大一番
9月の世界選手権でメダルを獲得したことにより、東京五輪代表に決まったのは文田ら男女5人。その他の選手には19日開幕の全日本選手権(東京・駒沢体育館)が大一番となる。
 世界選手権で5位に入り五輪出場枠を獲得した選手は、全日本を制すれば代表に内定。男子フリースタイル65キロ級で18年世界王者の乙黒拓斗(山梨学院大)、五輪連覇を目指す女子68キロ級の土性沙羅(東新住建)らが王手をかけている。
 一方、入江ゆき(自衛隊)が五輪出場枠を逃した女子50キロ級は、優勝者が五輪アジア予選に進む。17、18年世界女王の須崎優衣(早大)、リオ五輪女王の登坂絵莉(東新住建)らの激しい戦いになりそうだ。五輪4連覇の伊調馨(ALSOK)はエントリーせず、東京五輪出場はなくなった。

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