障害者アート支援広がる 東京五輪・パラで機運 作品「社会とつながり」

2019/12/12 9:49
保存
共有
印刷
その他

障害がある人の芸術活動を支援する取り組みが各地で広がっている。文化の祭典でもある来年の東京五輪・パラリンピックに向け、機運を高めようと国も力を入れる。作品発表や創作の機会が増え、関係者は「芸術が社会とつながるきっかけになる」と期待する。

地域活動支援センター「りふれっしゅ」で創作する美術作家の松島さん(11月7日、新潟市)=共同

「ここなら、何枚描いてもいいんだって自信につながるんです」。11月上旬、新潟市東区にある地域活動支援センター「りふれっしゅ」の職員、冨樫真美さん(30)は障害者が描いた絵で彩られた壁を見つめながら話した。美容室だった一室を改装し、昨年4月にオープンした施設には画材が用意され、好きな時に来て創作活動に励む。職員には大学や専門学校で美術を学んだ人もいる。

知的障害がある同市の美術作家、松島菜月さん(22)が石こうを彫刻刀で削り、はんこ作りに夢中になっていた。母の尚子さん(51)は「言葉はなくても作品が伝えたいことなんだ、と思って」と見守る。背丈より大きい絵を下描き無しに描き上げるライブペイントが評判になり、イベントに出る機会が増えた。

現在、施設を利用するのは10~50代の約30人。作品を販売したり仕事の依頼を受けたりして活動の場を広げている。

運営するNPO法人アートキャンプ新潟は、障害のある子どもが芸術に親しむ放課後等デイサービスも提供する。1色のペンで描いていた子が、通ううちにさまざまな色を使うようになり、作品を巡り会話が生まれるようになった。藍野翔代表理事(37)は「親が『うちの子は描けない』と思っていても、本人には表現したい気持ちがあるんです」と話す。

スポーツと文化、教育との融合をうたうオリンピック憲章は、大会で文化イベントを開くように定めている。五輪・パラを契機に、障害の有無にかかわらず才能が生きる社会の実現に向けた取り組みが進み、昨年には障害者文化芸術活動推進法が施行された。

厚生労働省によると、拠点となる支援センターや広域センターは、2019年度は32都道府県に設置されている。滋賀県のセンターには年間300件近くの相談が寄せられ、展覧会の開催方法や作品の著作権保護について助言する。今年開設の愛媛県では、10月に「障がい者芸術文化祭」を開催した。〔共同〕

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]