EU、温暖化ガス50%削減に引き上げ 30年目標

2019/12/11 22:43
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「欧州グリーンディール」について説明するフォンデアライエン欧州委員長(11日、ブリュッセル)=AP

「欧州グリーンディール」について説明するフォンデアライエン欧州委員長(11日、ブリュッセル)=AP

【ブリュッセル=竹内康雄】欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は11日、環境分野の総合対策の概要を発表した。2030年の温暖化ガスの排出削減目標を従来の1990年比40%減から50%減に引き上げた上で、さらに55%をめざす。50年に域内の排出を実質ゼロにする法案を20年3月までにまとめる方針を示した。持続可能なエネルギー構造への転換を資金支援する仕組みを設け、大幅な排出減に慎重な国を説得したい考えだ。

12月に就任したフォンデアライエン欧州委員長は環境政策を最優先課題と位置づける。同氏は委員長として初となる12~13日のEU首脳会議で、50年の排出実質ゼロの目標について各国首脳の同意を得たい考えで「欧州グリーンディール」と名付けた環境政策の全体像を示した。フォンデアライエン氏は11日「これが我々の新しい成長戦略だ」と述べ、新産業創出や雇用増につながると力説した。

EUはこれまで30年の排出削減目標を90年比で少なくとも40%としてきた。だが相次ぐ自然災害や若者を中心とした環境対策の強化を求めるデモを受けて一段の深掘りを検討していた。欧州委はひとまず50%に引き上げ、20年夏までに55%に上積みすることを検討する。

大幅な排出減に慎重な加盟国を支援するための仕組みづくりにも着手する。石炭などに依存する国が急速に再生可能エネルギーに移行すると、石炭産業に関わる人が失業する恐れがある。欧州委は「公正な移行」を進めるために、産業構造の転換や職業訓練などに使える支援の仕組みを整え、不満を和らげる。具体案を20年1月に提示する。

環境関連のインフラや産業振興などに向けて、欧州委は1千億ユーロ(約12兆円)規模の官民による資金メカニズムの設立も目指す。EUの排出量取引制度を海運業などに拡大したり、環境対策が十分でない国の製品に関税を上乗せする国境炭素税を一部の分野で実施したりする方針も明記した。

スペイン・マドリードでは第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)が開催中で、各国が既存の排出削減目標を引き上げるかが焦点の一つとなっている。欧州委は率先して目標を高めることで世界の気候変動交渉の主導権を握りたい考えだ。

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