新エネ メタンハイドレート、「オール高知」で挑む

2019/12/12 2:00
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次世代資源として海に埋蔵するメタンハイドレートの商業化に向け、高知県で本格的な取り組みが始まる。高知大学と地元の経済団体が高知沖の資源量を評価してもらうため、国の探査候補地に応募。2020年に自治体を交えた産官学で新会社を設立し、27年度以降に事業化を目指す。調査支援などで国とパイプを築き、壮大な計画にオール高知で挑む。

計画を主導するのが一般社団法人高知ニュービジネス協議会(高知市)と高知大の海洋コア総合研究センター(高知県南国市)だ。両者は11日、資源エネルギー庁の外郭団体、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の新たな探査候補地に応募したと発表した。

「燃える氷」といわれるメタンハイドレート(資源エネルギー庁提供)

「燃える氷」といわれるメタンハイドレート(資源エネルギー庁提供)

探査を求めるのは足摺岬から50キロ先の海域(1800平方キロメートル)。高知大の徳山英一センター長は「高知沖ではメタンハイドレートの存在が確認されている。今回の海域は(陸地から比較的近く)資源開発しやすいので調査海域として応募した」と説明する。

天然ガスの主成分であるメタンガスを得られるメタンハイドレートは海底の表層付近で取れる「表層型」と海底からさらに地下深くの地層に含まれる「砂層型」がある。高知沖は砂層型。JOGMECの探査船は海底に音波を発するなどの手法で海底地層のデータを集めて砂層の構造を3次元解析し、精度の高い埋蔵量の情報を取得できる。

この3次元評価は高知の隣の宮崎沖など全国10カ所ですでに行われている。調査により高知沖の可能性を探りながら自助努力として、20年中に調査支援や今後、国の各地での開発動向を情報収集する新会社を設ける。

株主への配当がない目的会社で資本金にあたる出えん金は500万円。18年3月、県内企業や四国電力、高知大などで立ち上げた「土佐沖メタンハイドレート実用・商用化プラットフォーム研究会」の参加企業や高知県、高知市に出資を募る。産官学によるオール高知の目的会社が目標。

この会社で国に本気度をアピールする。同研究会は商業化に向けた工程表をまとめている。それによると27年度までに国による採取を伴うサンプル調査を通じて実用化を検証する。

メタンハイドレートは固体で石油のように井戸を掘れば噴き出すわけではないため、メタンガスを取り出すには新技術が必要で輸送も難題だ。これらを同年度までにクリアし、商業化できるほど埋蔵量が確認されれば商業生産に向け開発会社を設ける。国費による日本のエネルギー事業なので全国から出資を募り27年度以降に事業を始める。

工程表通りに進むかは不透明だが、高知ニュービジネス協議会の小川雅弘会長は高知県経済にも恩恵をもたらすとしてこう意欲を示す。「県内で地産地消のエネルギー源として農業用加湿や地域内の暖房に応用できるようにしたい」

(保田井建)

▼メタンハイドレート(methane hydrate) 天然ガスの主成分でエネルギー資源である「メタンガス」が水分子と結びついてできた氷状の物質。火を近づけると燃えるため「燃える氷」と呼ばれる。燃やしたときに排出される二酸化炭素(CO2)は石炭や石油を燃やすよりも少ないため、次世代エネルギー資源として期待されている。

日本が採掘や調査を自由にできる排他的経済水域(EEZ)内に、国内で消費する液化天然ガス(LNG)の100年分に相当するメタンハイドレートが眠っているとの試算もある。

日本の研究開発は世界の先端を走るといわれる。JOGMECは2013年と17年、愛知・三重県沖で産出試験を実施。いずれの年も採掘や設備トラブルなどがあったもののメタンガスの産出を確認した。

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