NEC、カナダの量子コンピューター会社に出資検討

2019/12/11 20:00
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NECが量子コンピューターを開発するカナダのDウエーブ・システムズに1000万ドル(10億円超)を出資する方向で調整していることが11日、わかった。両社で量子コンピューターの性能を引き出すためのソフトウエアを共同開発する。量子コンピューターは米グーグルなど米IT(情報技術)大手との競争が激しさを増すなか、タッグを組むことで開発などのスピードを上げる。

NECが開発中の量子コンピューター

Dウエーブは10日にホームページで、NECと共同で量子コンピューター事業を加速させることで合意したと発表した。NECが1000万ドル出資する計画で、Dウエーブのクラウドサービスの販売代理店になるとしている。

ただNECは日本経済新聞の取材に「交渉は事実だが、出資の前提として提示した条件が満たされていないため、まだ正式合意していない」と述べた。NECもDウエーブと同じタイプの量子コンピューターを開発しており、競合する点などがネックになっているとみられる。クラウドの代理店になることも、まだ確定していないという。

Dウエーブは2011年に「量子アニーリング方式」と呼ばれる量子コンピューターを世界で初めて開発、商用化した。量子アニーリング方式は多数の組み合わせの中から最適なものを見つけ出す機能に特化した量子コンピューター。NECは現在、同じ方式の量子コンピューターを開発中で、23年までの実用化を目指している。

量子アニーリング方式は、米グーグルなどが開発する汎用型の「量子ゲート方式」よりも早く実用化できるとの見方がある。Dウエーブのシステムはすでにデンソー豊田通商OKIグループなどの日本企業が活用している。米アマゾン・ドット・コムがDウエーブのシステムを遠隔で利用できるクラウドサービスの提供を表明する。

現状は量子コンピューターの性能を十分に引き出すためのソフトが少なく、設定などに時間がかかる。より効率よく計算するためのアルゴリズムの開発も課題だ。

こうした課題を解決するため、NECとDウエーブは多くの企業・研究機関が利用できるソフトを共同開発する方針だ。既存のコンピューターを併用した複合サービスの共同開発にも取り組む。DウエーブはNECからの出資が完了し次第、協業を進めていくとしている。(島津忠承、林英樹)

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