20代「FPとさか」さんの稼ぎ方改革(投信ブロガー)
ブログ「FP投資家リーマンとさかの稼ぎ方改革」を運営する「FPとさか」さんは20代後半のサラリーマン。人材コンサルティング会社に勤め、共働きの妻と都内の賃貸住宅で暮らしている。
ブログのサブタイトルには「お金の稼ぎ方×楽しい働き方×理想の生き方」「会社員×投資×副業」というメッセージがおどる。「お金の稼ぎ方を変えて、楽しく働きながら、理想的な人生を生きようよ」という思いを込めたという。FPとさかさんの「お金の稼ぎ方改革」を聞いた。
見つけた給料以外の選択肢
――お金の稼ぎ方改革というのはどういう意味ですか。
「2015年に社会人になってすぐ読んだ『金持ち父さん貧乏父さん』という本で、会社勤めでもらう給料以外にもお金の稼ぎ方があるのを初めて知り、感銘を受けました。それまで、中学、高校、大学と進学した後は会社に入って給料をもらって生活することしか頭になかったので、会社に束縛されなくてもいい人生が開けていることに気持ちが高まり、一歩踏み出そうと決心しました」
「だからといって、会社勤めに不満があるのではなく、大もうけしたいとまでは思っていません。給料以外の収入を得ながら、仕事も生活も楽しんでいこうという考えです。まず始めたのが日本株投資で、副業として主に手掛けているのが不動産投資です」
「投資に関連することを貪欲に学んでいこうとAFPの資格取得にも挑戦し、資格認定されたのでハンドル名に『FP(ファイナンシャルプランナー)』を付けています」
「ブログを立ち上げたのは16年です。日本株投資でお金を増やせたことから、『給料をもらう以外の稼ぎ方』があるのを実感し、それを世の中の多くの人にも知ってもらいたくなりました」
「会社の同僚などに資産運用のアドバイスを無料で行っていますが、徐々に副業収入を得られるようになったらうれしいです。最近、ブログ経由で相談を申し込んでもらえるようにしました」
資産形成には積み立て投資が有効
――どんな金融商品に投資していますか。
「現在、金融資産の8割強を投資用のワンルームマンションが占めています。不動産投資を始めたのは『金持ち父さん貧乏父さん』の影響もありますが、東京の不動産市況に長期では強気の見方だからです」
「物件購入のために数千万円の融資を受けており、現在は家賃収入から借金返済額と各種経費や税金を差し引いて少しプラスを維持している状況です」
――投資信託を購入しているのはなぜですか。
「投資のきっかけとなった日本株については、生活に身近な飲食関連業やビジネスモデルに優れていると思う企業を自分で選び、財務状況など色々調べながら投資するのが好きです」
「日本株は随時の一括投資ですが、資産形成には『積み立て投資』が有効なのを知り、投信の積み立て投資も始めました。日本株と投信を合わせた資産額は全体の1割弱程度で、株式の配当金を除くこれまでのリターンは11%弱といったところです(19年11月末時点)」
「不動産を除いて金融資産額は現在800万円を超えるくらいあります。生活防衛資金として給料3カ月分の現金を持っており、年齢的にこの程度の現金保有で、不動産投資が大半を占めるリスクを取っても問題ないだろうという考えです」
つみたてNISAを満額活用

――投信の積み立て投資の内容を教えてください。
「つみたてNISA(少額投資非課税制度)における年40万円の非課税枠をフル活用中です。毎日1600円で4本の米国株価指数連動型を中心とした海外株インデックスファンドを各400円ずつ購入しています(図A)」
「リスクの高い個別日本株は短期売買の利益確定も行う一方で、個別株よりもリスクを抑えられる投信は長期保有する、と使い分けています。日本株でアクティブ運用しているので、投信でインデックス運用するスタイルを選択しています」
――投資の失敗体験はあるのですか。
「あります。1カ月分の給料の大半をあてて最初に買った株で10万円の損を出しました。何も調べずに適当に銘柄を選んだ結果ですが、悔しくてたまりませんでした。それ以降は株価指標や会社の経営内容をしっかり調べるようになり、失敗体験を糧に株式投資でも稼ぎが得られるようになりました」
――ブロガー仲間との交流も盛んなようですね。
「他のブロガーの方々とのラーメンを食べ歩く会や飲み会、投資イベントに参加するのが投資を通じた楽しみの一つです。友人のように普段の生活や近況を話し合うと同時に、情報共有をしながら自分の資産運用に生かせることを取り入れています」
「販売会社のあり方などのテーマを設定し、FPの方やブロガー仲間と定期的に議論する場も設けています。問題意識を持つ方々との意見共有の輪を少しずつ広げながら、FPとしての自分のアドバイスの充実化につなげていきたいです」
まずは投資を始めてみる
――投資に踏み出せない同世代の人に何かアドバイスを。
「『老後2000万円問題』をきっかけに、資産形成しないと老後は暮らしていけないと危機感をあおるような風潮が出てきたように思います。気になる動きですが、危機感があっても投資に踏み出せない人が少なくないと感じています」
「月並みですがそんな人は『まずは少額でも投資を始めてみる』しかないように思います。まずは投資してみて、感じた違和感や課題をどう克服していけばいいのか自分で考えたり人から教わったりして、地道に解決しながら資産形成を軌道修正していくプロセスそのものが大切になるのではないでしょうか」
「投信選びに迷う場合は『投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year』の上位入選投信が参考になります。販売会社の思惑とは距離を置いて『購入者自らにとって本当によいと思うファンドを大きく育てていく』趣旨でブロガーが投票した結果なので、信頼できると思います」
(QUICK資産運用研究所 聞き手は高瀬浩)