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レア爬虫類、受難 ペット需要高まり密輸横行

爬虫(はちゅう)類の密輸入事件が後を絶たない。国内でペットとして販売される種の4割が国際取引規制の対象だったという調査もある。鳴き声もなく臭いもしない……。飼いやすさから人気が過熱し、高値の売却をあてこんだ密輸の手口は巧妙で見抜きにくい。

密輸されたペレンティーオオトカゲ=警視庁提供

ペレンティーオオトカゲはオーストラリアに生息し、体長は約2メートルになる。銭形のような模様があるのが特徴だ。

愛好家の間では「世界一美しいトカゲ」と呼ばれ、絶滅の危険があることからワシントン条約で商業目的の国際取引が規制されている。警視庁などの捜査で11月、国内で闇の売買があったことが判明した。取引額は雄600万円、雌330万円だったという。

警視庁は外為法違反などの疑いで神奈川県厚木市の動物卸売業者らを書類送検した。2017年と18年の2回、香港空港から成田空港へ1匹ずつ空輸したとされる。別の規制対象外の種と偽って申告し、税関の検査をすり抜けていた。

財務省の貿易統計によると、食用のスッポンなどを含む爬虫類全体の輸入量は減少傾向にある。しかし、主にペット目的とみられる生きた「トカゲ亜目」の18年の輸入量は約11万4千匹で、08年(約2万3千匹)と比べて約5倍に伸びた。

展示即売会といったイベントが各地で毎週のように開かれ、数万人が来場する回もあるという。

爬虫類は犬や猫などと比べて臭いが少なく、ほとんどは鳴き声もない。数日に1回の給餌で済む種が多く、販売業者は「マンションの一人暮らしが多い現代のライフスタイルに合っている。愛好する芸能人の影響を受け、特に若者に人気だ」。

人気の高まりで希少種の密輸も増えた。取り締まる税関は規制を受けない種類に希少種を紛れ込ませる手口に苦慮しているという。税関幹部は「ふ化後間もない爬虫類は外見上の特徴があまりない。目視で識別するのは不可能に近い」と話す。

ペレンティーオオトカゲの事件でも香港側のブローカーは1つの段ボール箱の中に種類が違う10匹以上を混入させており、税関職員は希少種の存在に気付かなかった。

野生動物の取引を監視する非政府組織(NGO)「トラフィック」が全国のペットショップなどを対象に実施した17年の調査では、販売されていた爬虫類606種のうち、4割に当たる238種がワシントン条約の取引規制の対象だった。108種は直接の法的な規制を受けていなくても国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種リスト(レッドリスト)に登録されていた。

希少種の密輸横行は種の絶滅に直結する。飼いきれなくなり、野外に捨てられれば国内の生態系に影響を及ぼす恐れも生じる。トラフィックの担当者は「販売業者は適正に輸入された個体かどうか明らかにすべきだ。購入者は規制の有無や輸入の経緯を確認し、日本での飼育に適しているか慎重に検討してほしい」と呼びかけている。

密輸入されたペレンティーオオトカゲ(11月、警視庁丸の内署)=共同

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