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犬猫殺処分ゼロ目標、愛護団体に負担 劣悪環境飼育も

動物愛護団体「ランコントレ・ミグノン」の譲渡会の様子(8月、東京都渋谷区)=共同

犬や猫の「殺処分ゼロ」を掲げる自治体が増えている。動物愛護意識が高まり、殺処分への風当たりが強まっているためだ。ただ、しわ寄せとして愛護団体の引き取る数が増えている面があり、劣悪な環境で飼育されるケースも。「ゼロという数字ばかり追うのは無責任」との声が上がる。

進む譲渡

2012年の動物愛護法改正で、自治体は「殺処分がなくなることを目指して」引き取った犬猫の譲渡、返還に努めることになった。老齢や病気などを理由とする引き取りを自治体が拒否できることも明記。殺処分数は08年度27万6千匹だったが、17年度は4万3千匹に減った。

飼い主不明の犬猫を含め自治体の引き取り数が減るとともに、譲渡・返還数が増加。環境省の担当者は「飼い主の意識向上で野良犬や猫が減ったことに加え、民間団体との連携で譲渡が進んだ」と分析する。

かつて犬の殺処分が全国最多だった茨城県は16年、犬猫の殺処分ゼロを目指す条例を制定。18年度の犬の殺処分数は08年度と比べ96%減った。県は「収容数は変わらないが、愛護団体への譲渡が増えた」と説明する。

東京都は今年4月、18年度に殺処分ゼロを達成したと宣言した。衰弱がひどいなどの犬猫360匹を例外的に殺処分し、320匹を第三者へ譲ったという。多くが愛護団体で、都担当者は「非常に熱心で、欠かせない存在」と話す。

行き詰まり

愛護団体は、施設やボランティア宅で面倒を見ながら、インターネット、譲渡会で新たな飼い主を探す。子どもや小型犬はもらい手が見つかりやすい半面、高齢だったり、人になついていなかったりすると難航し、滞留しやすい。

東京都の女性会社員(37)は2月、ボランティアから猫を譲り受けたが、爪は伸びたまま、体重を記録していた様子もなかった。ほかに複数の犬猫を見たといい「世話が行き届いてなかったのではないか」と疑う。

世話が行き詰まる「多頭飼育崩壊」も起きている。兵庫県のNPO法人施設では16年、不衛生な状態で放置されている犬猫数百匹が見つかった。広島県の愛護団体では昨年11月、狂犬病の予防注射を受けさせなかったとして、役員らが書類送検された後、不起訴処分となっている。

愛護団体「ランコントレ・ミグノン」(東京)は最近、引き取り数を絞っている。代表の友森玲子さんは「数を制限して、しつけやケアをしっかりすることで、譲渡先が見つかりやすくなった」と効果を話す。

日本動物福祉協会で活動する町屋奈獣医師は「自治体が相手や犬猫の状況を考慮せず譲渡したり、愛護団体が能力以上に受け入れたりすると、かえって動物福祉がないがしろになる」と、安易な殺処分ゼロ目標に警鐘を鳴らしている。〔共同〕

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