米与野党、新NAFTA修正案で合意 発効にメド

貿易摩擦
2019/12/11 2:03 (2019/12/11 5:47更新)
保存
共有
印刷
その他

【ワシントン=鳳山太成】トランプ米政権と野党・民主党の議会指導部は10日、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定の修正案で合意したと発表した。米議会が実施法案を承認する手続きに入る。与野党の対立で米国の批准が滞っていたが、今回の合意で発効のメドがついた。北米に投資する日本の自動車メーカーは経営環境を見通しやすくなる。

民主のペロシ下院議長が記者会見で「新協定はNAFTAよりも非常に優れている」と述べ、「USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)」を巡る政権との交渉が妥結したと明らかにした。民主幹部と交渉してきた米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表も「歴史的な合意に達した」との声明を発表した。

10日、政権と新NAFTAの修正協議で合意したことを発表した民主党のペロシ下院議長=ロイター

10日、政権と新NAFTAの修正協議で合意したことを発表した民主党のペロシ下院議長=ロイター

民主党によると、修正案はメキシコで適切な労働環境が保たれているか監視する機関を米国に設ける。米国からメキシコへの雇用流出を食いとめる狙いだ。製薬企業にバイオ医薬品の独占権を10年間認める条項を削り、薬価の引き下げにもつなげるという。

ライトハイザーUSTR代表とカナダのフリーランド副首相は10日、メキシコシティを訪れ、修正を反映した新協定に3カ国で改めて署名した。

米政権は今後、実施法案を議会に提出する。与野党が事前に合意したことで上下院それぞれで承認される公算が大きい。下院は来週に採決する予定だ。与党・共和党の上院トップ、マコネル院内総務は2020年1月にも開くトランプ大統領の弾劾裁判の後に上院で採決する考えを示したが、ホワイトハウスは年内の実施を求めた。

カナダとメキシコの議会もそれぞれ実施法案を採決し、いずれも承認される見込みだ。新協定は3カ国が批准手続きを終えた後、3カ月後に発効する。発効は2020年春以降になる見通しだ。

NAFTA再交渉で妥結した米国とカナダ、メキシコは18年11月末にUSMCAに署名した。その後、下院で過半数を握った民主が協定内容の一部修正を求めたため、米国の批准が遅れていた。

新協定は乗用車を無関税にする条件として時給16ドル以上の工場で40%生産するよう求めるなど米国への生産回帰を後押しする条項を盛り込んだ。北米に投資する日本の自動車メーカーにとってはコスト高につながる可能性がある。一方で先行き不透明の要素がひとつ取り除かれ、企業にとっては今後の投資戦略を立てやすくなる。

16年の米大統領選でNAFTA見直しを公約に掲げたトランプ氏にとって新協定の発効は、20年の次期大統領選で掲げられる大きな実績となる。民主はウクライナ疑惑を巡る弾劾調査で同氏と対立するが、NAFTAに関しては政権に修正を認めさせることで妥協した。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]