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NHK次期会長・前田氏が会見 「組織、常に見直す」

NHKの次期会長に決まった元みずほフィナンシャルグループ(FG)社長の前田晃伸氏は10日、都内で記者会見を開き、「公共放送として信頼される番組を作り続けていく」と意気込みを語った。総務省はNHKに対し、業務の見直しと受信料の引き下げ、ガバナンス(企業統治)強化の三位一体改革を求めている。メガバンクの経営で培った経験を生かし、NHKの改革を進めることができるか。前田氏の手腕が問われる。

前田氏はNHKの会長職について、「やるからには全力でやる。それ以上のものはない」と述べた。就任に際して事前の打診はなかったと言い、「できるだけ早くNHKの実情を把握して公共放送にふさわしい仕事をしていきたい」と語った。

NHKの会長には前田氏を含め5代連続で外部の人材が登用されるが、金融機関出身の経営者は初めてになる。総務省や民放からNHKの肥大化への懸念が強まる中、三位一体改革をスピード感を持って進めることが求められており、業務の効率化やコストへの意識の高い金融機関のトップ経験者を会長に据えることで、NHKの改革を加速させる期待がある。

9日に会見を開いたNHKの石原進経営委員長は前田氏について「お金の流れには厳しい考え方を持っていると思う。前田会長の下で三位一体の改革をしていってほしい」と期待を込めた。

NHKは9日にテレビ番組を放送と同時にインターネットに流す同時配信について、2020年4月からの開始に向けて、配信時間を24時間から短縮する実施案を公表した。また、BS放送を4波から3波に縮小する方針も表明した。

受信料の引き下げなど視聴者への適切な還元も課題だ。17年に最高裁が受信料制度を合憲と判断したことやNHKの体制強化で受信料収入は増加している。また、子会社に積み上がった利益剰余金については、まずNHKに還元することを決めた。すでに公表している制作会社のNHKエンタープライズとNHKプラネットの経営統合など、グループ企業の再編によるスリム化も必要だ。

高市早苗総務相は10日の閣議後の会見で、三位一体改革の必要性を指摘したうえで「国民、視聴者の信頼に応える業務運営に努めてほしい」と前田氏に求めた。

前田氏は10日の会見で「経営にとって大切なことは結果を出すこと。組織は常に見直さないと硬直化し、時代に合わなくなる」と述べ、NHKの改革に意欲を見せた。一方で、具体的な経営課題については言及を避け、「昨日、突然の指名を受けたばかり。来年1月の就任までによく勉強していきたい」と述べるにとどめた。

来年1月に就任する前田氏には早期にNHKの経営状況を把握し、総務省に示した経営改革をスピード感を持って実現していくことが求められる。

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