掛川で全国軽トラ市、街ににぎわい 自ら活気戻す機に

2019/12/11 2:00
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軽トラックの荷台を使って地元産品などを販売する「軽トラ市」。静岡県掛川市で8日、その全国大会が初めて開かれた。新鮮な野菜や果物、総菜などに引かれ、想定を6割上回る約2万5千人が訪れた。2005年に岩手県雫石町で産声をあげ、今では全国に広がっている軽トラ市。衰退する地方の商店街が自ら活気を取り戻すきっかけとなる可能性を秘める。

8日午前、JR掛川駅前。静岡を含め全国7県の軽トラなど約90台が集結した。主催する実行委員会会長の松井三郎掛川市長は開会式で「疲弊する地方の中心市街地ににぎわいをつくる」と語り、意義を強調した。

店には掛川のお茶や岩手のリンゴ、宮崎の地鶏など各地を代表する特産品がずらり。開会と同時に通りは買い物客で埋め尽くされた。主催者によると約2万5千人が来場。毎月、掛川市で開かれる軽トラ市の約8倍に及ぶ規模となった。

同日は軽トラ市を応援するスズキの鈴木修会長も訪れた。軽トラ市を巡り出店者と交流を楽しみながら、色々な商品を買い求めた。同県島田市から家族で訪れた50代の女性も「食欲をそそる香りに思わず釣られますね」と笑顔で話した。

軽トラ市の魅力とは何か。雫石、愛知県新城市とともに「3大軽トラ市」に数えられる宮崎県川南町の商工会会長、宮崎吉敏氏は「対面販売にある」と話す。出店者は自分の商品を売り込み、客は吟味して買う。客は出店者と話すうちに親近感がわき、財布のひもが緩む。大型店では味わえぬ体験と言える。

軽トラ市は軽トラの荷台を店舗に見立てて営業するので楽に設営や撤収ができ、出店者負担を抑えられる利点もある。補助金に頼らず続けられる地方創生の取り組みとして、現在は全国約100カ所で定期的に開かれているとされる。

「軽トラ市は次の段階に入っている」。全国大会に先立ち7日の討論会で愛知大学の戸田敏行教授は強調した。軽トラ市の恒常的な開催が課題となるなか、県境を越えた連携の必要性を説く。「三遠南信」と呼ばれる愛知・東三河、静岡・遠州、長野・南信州が連携するよう旗も振る。

空き店舗が多く、人通りも少ないシャッター街でも大きな集客効果をあげている軽トラ市。取り組みは全国に広がってきたが、集客効果を街全体に生かし切れていない面もありそうだ。

「商店街の店の皆さんは軽トラ市に合わせて店を開ければ、店先で自分の商品をもっと売り込めるのではないか」。スズキの鈴木会長が掛川の軽トラ市を巡るなか商店街の店にも足を運び、熱心に説く姿があった。

鈴木会長は軽トラであれば道で営業しても、道の両側にある商店街の店の様子が見られ、営業の邪魔にはならないとみる。逆に商店街の店を開けば買い物客が軽トラ市の店と商店街の店の間を巡り、商店街にも利すると考えるからだ。

地方の一地域で生まれた軽トラ市だが、鈴木会長は「地方創生に役立つ未来の自動車の使い方」とも語る。生かすも殺すも地域の知恵と汗しだいだ。

(浜松支局長 新沼大)

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