熊谷組、重機の遠隔操作リアルに体感 東京高専と開発

日経産業新聞
コラム(ビジネス)
2019/12/11 2:00
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

熊谷組は遠隔操作している重機の傾きや振動を操縦者に伝えるシステムを、東京工業高等専門学校(東京高専)と共同で開発した。従来の遠隔操作では視覚情報でしか重機の状態を把握できず傾斜地の作業では、重機が転倒する恐れがあった。感覚的に操縦できることで工期の短縮や安全面での優位性を訴え、無人化工事の獲得につなげる。

現場の傾きや振動などをリアルタイムで伝える(茨城県つくば市)

現場の傾きや振動などをリアルタイムで伝える(茨城県つくば市)

両者が開発した「無人化施工VR技術」は災害復旧など、作業中に二次災害が起こる危険性のある工事で活用する。毎年台風や豪雨、震災などで土砂崩れが発生している。崩れた道路や建物の復旧工事の現場では、工事中にさらに土砂崩れが起きる可能性があり、作業員の安全を守るために重機の遠隔操作技術の高度化が求められている。

新システムでは東京高専が開発した「シンクロアスリート」という、スポーツ選手の視点でスポーツを疑似体験する仕組みを活用した。実際に競技をしているアスリートに3次元(3D)カメラと加速度センサーを身につけてもらい、競技中の視界や体の動きをデータ化する。

一方で、観戦者は3Dカメラの映像をヘッドマウントディスプレーを通じてみるので、実際にアスリートと視野を共有しているような感覚を味わえる。座席も加速度センサーのデータに合わせて動くので、映像に合わせてアスリートの体の揺れなどを体感することができる。

無人化施工VR技術ではアスリートに装着する3Dカメラと加速度センサーを重機に載せる。遠隔地にいる作業者はヘッドマウントディスプレーから重機の周囲の映像をリアルタイムで見つつ、傾きや振動に連動して動く座席に座るため、重機に実際に乗っている感覚で操縦できる。3Dカメラは周囲を遮らずに撮影できるよう、重機の前方と後方の2カ所に設置した。

重機から離れた安全な場所にセンサーや3Dカメラのデータを無線で受信する操作室を設置し、遠隔操作する。操作室は10トントラックで簡単に運べるため、設置に時間がかからず、すぐに工事を始めることができる。工事現場の環境によるが、300~500メートルの範囲であれば重機から無線送信されたデータをほぼ時間のずれがなく受信できるという。

斜面の作業や、ショベルカーが土砂をすくった状態で旋回するときなどに重機の傾きを正確に把握できないと重機が転倒することがある。従来の遠隔操作では映像や音などから重機の状態を推測することはできるが、感覚的に捉えることは難しかった。

熊谷組は新システムの導入により、無人化施工の入札の際に安全性や工期の短縮などを訴える。

(企業報道部 桜井豪)

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