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巨大台風 もろかった備え(ニュースクリップ2019)

2019年、日本列島はこれまでの想定を超える規模の台風に次々と見舞われた。長期間に及ぶ大規模停電や断水、川の氾濫・決壊による浸水……。各地で相次いだ災害は風水害への備えの脆弱性を浮かび上がらせた。

大型台風、暴風や浸水被害が深刻に

台風19号の被害で浸水した北陸新幹線の車両(10月、長野市)

9月9日に千葉市付近に上陸した台風15号は強い勢力を保ったまま関東地方を縦断。記録的暴風を伴い、千葉市では最大風速35.9メートル、最大瞬間風速57.5メートルを観測した。房総半島では住宅の屋根が吹き飛ばされるなどの被害が多発した。暴風に伴い、千葉県内の山間部では多くの倒木が発生した。このため電線が至るところで寸断され、県内を中心に最大約93万戸が停電し、住民生活に多大な影響が出た。東京電力パワーグリッドなどが修復を急いだが、見通しの甘さなどから作業は遅れ、全面復旧までに2週間以上を要した。

台風15号の影響により被害を受けた家屋で作業する人たち(9月、千葉県南房総市)
台風15号で被害を受けた地域で停電の復旧作業に当たる作業員。手前は屋根にブルーシートを掛ける消防関係者(9月、千葉県館山市)

台風15号上陸から約1カ月後の10月12日には台風19号が大型で強い勢力のまま伊豆半島に上陸し、関東地方を再び通過した。台風本体の発達した雨雲などの影響で、総雨量が1000ミリを超えた神奈川県箱根町をはじめ、各地で記録的な大雨となった。特に川の増水による浸水被害は深刻だった。国土交通省によると、阿武隈川や千曲川など、国と7県が管理する71河川の計140カ所で堤防が決壊した。300河川以上で越水や排水不良による浸水被害が起き、多数の死傷者が出た。

温暖化による影響指摘する声も

激甚化しているようにみえる豪雨や台風が発生する原因は、地球温暖化との関連が疑われている。

防災科学技術研究所によれば、台風19号が千曲川上流や阿武隈川上流にもたらした24時間降水量は「100年に一度程度」の多さだった。また、複数の原因により勢力が非常に強くなったと、気象庁予報課アジア太平洋気象防災センターの永戸久喜所長は指摘する。

一つは台風が発生し、日本に近づくまでの海の水温が高かったこと。台風上陸の前、日本の南の海の表面水温は、過去26年間の平均と比べ1度ほど高かった。海から水蒸気が多く発生し、大気に移動した。水蒸気は大気中で水になる際に熱を放出し、台風を発達させるエネルギーになる。

北半球の上空を流れる偏西風が、日本付近で北に移動していたことも影響した。台風上部の雲を押し流す偏西風があると、台風は上下方向に対流できず、勢力が弱まる。台風19号が日本に近づいた際には偏西風が通常よりも北に移動していたため、勢力が弱まらなかった。台風が日本に近づく際、大気が乾いていると水蒸気が少なくなり勢力が衰えるが、台風19号の通り道では大気が湿っていた。これも勢力が弱まらなかった原因の一つと考えられる。

近年、台風の勢力が強まっているとの調査がある。横浜国立大学の筆保弘徳准教授は、上陸時に強い勢力を保っている台風が1980年代から増えていると指摘する。ただ上陸する数は目立って変化していない。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、今後地球温暖化が進んだ場合、台風の勢力が増す可能性を指摘している。

中村哲医師がアフガンで殺害 国内外で悲しみの声広がる

アフガニスタン東部で用水路工事の指揮を執る「ペシャワール会」の中村哲医師(2008年6月、共同)

アフガニスタン東部で12月4日、灌漑(かんがい)事業などの人道支援に取り組む非政府組織(NGO)「ペシャワール会」(福岡市)現地代表の医師、中村哲さん(73)が武装した集団に銃撃され、死亡した。テロが多発する中で30年以上、活動を続け、乾いた大地に水と緑を取り戻してきた中村さん。国内外で悲しみの声が広がった。

1984年にパキスタンの病院に医師として赴任。難民の惨状を目の当たりにした。2000年にアフガンで発生した大干ばつを機に灌漑事業に打ち込んだ。「とにかく井戸を掘れ。お金は何とかする」。力強い言葉で仲間を鼓舞し続けた。10年に完成した用水路は約1万6千ヘクタールの土地を潤し、約60万人の生活を支えるまでになった。事件後、東京のアフガン大使館は「アフガンの偉大な友人」と貢献を評価。ペシャワール会は現地での活動を再開すると表明した。中村さんの情熱は仲間たちに受け継がれていく。

国連気候サミットで16歳が怒りの演説 「失敗したら許さない」

「あなたたちが話しているのは、お金のことと経済発展がいつまでも続くというおとぎ話ばかり。よくもそんなことが言えますね!」。9月23日、米ニューヨークの国連本部での「気候行動サミット」の開幕式で16歳のスウェーデン人少女、グレタ・トゥンベリさんが訴えたメッセージは世界に大きな影響を与えた。

「失敗したら我々は許さない」と世界の首脳陣の環境対策への後ろ向きな姿勢を糾弾した。パリ協定で設定された「気温上昇を可能ならば1.5度に抑える」との目標は各国が合意した削減目標のままでは達成できないと強調した。

グレタさんの発言には賛否が分かれた。米国は11月、2020年以降の地球温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」から離脱すると国連に通告。トランプ米大統領はグレタさんの主張に批判的で、自身のツイッターに「落ち着け、グレタ」と投稿した。

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