「ドラレコ」視野広がる AIや360度で車内外監視

日経産業新聞
コラム(ビジネス)
2019/12/11 2:00
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あおり運転、運転中にスマホを使用する「ながら運転」や高齢ドライバーによる事故の多発で、ドライブレコーダー市場が盛り上がっている。事故などが発生した時に衝撃を感知して前後の映像を記録する。需要の拡大を受けて、各社が人工知能(AI)を搭載してドライバーの運転中の行動を監視したり、アクションカメラとしても使えたりと新たな付加価値を売りにした製品を相次ぎ投入している。

ナウトのドラレコはドライバーの挙動をAIが判断する

ナウトのドラレコはドライバーの挙動をAIが判断する

「ピピピピッ」。ドライバーが運転中にカーナビゲーションを操作しようと画面をのぞき込むと、電子音が車内に鳴り響く。警告を発するのは米スタートアップ、ナウト社が開発したAIを搭載するドライブレコーダー「ナウト」だ。

バックミラー横に取り付けられた「ナウト」に、車内側にもドライバーの行動を監視するカメラが搭載されている。運転中にカーナビやスマホの操作などでわき見をすると、ドライバーの目や体の動きからAIが検知して即時に警告する仕組みだ。

安全確認のためにサイドミラーや後方を確認する行動については、わき見運転と区別して警告しない。一方、居眠り運転を見抜き、警告音を鳴らす。

あおり運転を警告する新機能も追加した。ナウトは搭載車のドライバー自身によるあおり運転を抑止するために、前方を走行する車との車間距離を計測する。あおり運転とAIが判断するとドライバーに警告する。

12月1日からスマホなどを使用しながら運転する「ながら運転」が厳罰化される。ナウトは使用しなくても、スマホやたばこを手に持った状態で運転しても、AIが検知して運行管理者に報告する機能を加えた。

主に物流トラックや営業車など向けを想定して販売しており、1台あたり1万3000円で導入できる。月額利用料金は同5500円。国内ではすでに100社ほどが導入しており、約3割が運送事業者だという。

カー用品大手のカーメイトは、アクションカメラとして使うことができるドラレコを販売する。オプションのバッテリーをドラレコに取り付けると、車から取り外して360度カメラとしてスキーや旅行などを撮影できる。スマホに専用アプリをダウンロードすると、撮影した画像を仮想現実(VR)で観賞することもできる。同社の通販サイトでの価格は6万5780円に設定している。

カーメイトのドライブレコーダー「DC5000」はアクションカメラとして使える

カーメイトのドライブレコーダー「DC5000」はアクションカメラとして使える

360度を撮影できるため、ドラレコとしても車の前方から車内まで全方位を撮影できる。前方だけでなく広い範囲を撮影できるため、あおり運転などの記録にも有効だという。フロントガラスの内側の天井付近に設置する。

360度の映像に加えて前方のみの映像も同時に撮影できる。前方のみの映像は、360度カメラで撮影した映像よりも解像度が高く、広い画角では判別しづらい前方車のナンバープレートなどもはっきりと映せるという。ドライバーや歩行者などの顔をカメラが認識して、自動でモザイクをかける技術の開発も進めており、プライバシー面でも配慮する。

国内のドラレコ市場はコムテック、JVCケンウッド、ユピテルが主要プレーヤーだ。調査会社のBCNによると、18年の販売台数ではコムテックが首位。各社ともドラレコへ関心が高まるのを好機として攻勢を強めている。

ドライブレコーダーはタクシーや物流トラックなど業務用途がこれまでの中心だった。ただ近年は、あおり運転や高齢ドライバーによる事故が多発し、一般のドライバーにも広く普及するようになった。トラブル時の状況を記録として残すだけにとどまらず、ドライバーの不注意を検知して、事故を防ぐなどの新たな機能が追加されつつある。ドラレコの目は車外だけでなく、車内にも向けられる。

富士キメラ総研によると、ドラレコの世界市場は2024年には17年比2.2倍の7600億円になる見通しだ。自動車産業ではカメラやセンサー技術が進化し、車の安全性の向上に一役買っている。車両を「所有」しないシェアリングや自動運転といった領域でも、社内外の状況を残すドラレコが果たす役割が注目されている。

ただ、プライバシーの扱いなども今後の課題になる。新型のドラレコはインターネットを通じ、記録したデータを情報機器やクラウドで共有するタイプの製品が登場している。ネットにつながったドラレコがあらゆる場所にあふれかえることで、監視カメラと同様に悪用される危険性も指摘される。ハッキング防止などサイバーセキュリティー対策も求められることになりそうだ。

(企業報道部 為広剛、平塚達)

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