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フィリピン送電網 議会が「中国の影響力」調査へ

【マニラ=遠藤淳】フィリピンで唯一の送電会社に安全保障上のリスクがあるとの懸念が浮上している。4割を出資する中国国有企業が事実上、送電システムを運用していると一部議員が指摘し、上院委員会が調査する方針を示した。だが中国の経済支援を期待するドゥテルテ大統領は問題視しない姿勢を示す。

「憲法の規定ではフィリピン人が経営し、運営しなければならない。もし、そうでなければ非常に問題だ」。上院エネルギー委員会のガチャリアン委員長は4日、地元テレビでこう語った。

やり玉に挙げたのが、フィリピン国家送電会社(NGCP)だ。地場企業2社が60%、中国国有の送電会社である国家電網が40%を出資する。2009年に送電網を保有する送電公社から受託し、全国の発電所から配電施設までの送電を手がける。親中政策を進めたアロヨ政権下で受託したが、当初から国家電網の出資が問題視されていた。

一部メディアが報じたNGCPの内部文書によると、システムが遠隔で操作できる中国製のものに取り換えられた。中国人技術者だけが全体を把握し、フィリピン人技術者は簡単な操作しかできない。不具合に対応する際に必要なパスワードは海外にいる中国人技術者だけが知っているという。

11月21日に議会で証言したNGCPを監督する立場の送電公社のトップは、施設への立ち入りを制限されていることを認め、中国が送電を停止できる可能性があるとした。「中国はボタン1つで我が国の経済活動をまひさせられる」。野党のホンティベロス上院議員が25日に声明を出し、議会に実態を調査するよう要求した。年内に調査が始まるという。

一方でNGCP側は、日常業務は全てフィリピン人が担っているなどと説明し、疑惑を否定した。中国外務省の耿爽副報道局長は記者会見で「送電網はフィリピンが運営管理に当たっており、中国は求めに応じて必要な技術を支援しているだけだ」と説明した。

ドゥテルテ大統領は12月2日「中国が送電網を停止する理由はない」と地元メディアに述べ、懸念を一蹴した。だが、2018年末に中国電信集団(チャイナテレコム)が出資する通信会社の参入が認められた際にも、通信インフラへの中国の関与を懸念する声が噴出するなど、中国に対する国民の警戒感は強まっている。議会の調査結果次第では、批判の矛先が政府に向く可能性もある。

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