増税後の景気見通せず 10~12月は下げ公算

2019/12/9 23:00
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内閣府が9日発表した2019年7~9月期の国内総生産(GDP)改定値は前期比年率で実質1.8%増となり、1カ月弱前の速報値から1.6ポイントの大幅上方修正となった。ほぼゼロ成長とみられた増税直前の日本経済は、駆け込み需要などで比較的高めの成長を記録したという評価に一変した。一方、10~12月期はマイナス成長に陥る公算が大きく、増税後の景気は不透明感が強い。

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今回の改定で設備投資は前期比0.9%増から1.8%増に、個人消費は0.4%増から0.5%増に上方修正された。設備投資は財務省の法人企業統計、個人消費は総務省のサービス産業動向調査で増勢だった最新のデータをそれぞれ取り入れたためだ。

GDP統計上、消費増税は本来は設備投資にはプラスにもマイナスにも影響しない。ただ中小企業の一部は税制上、増税前に設備投資した方が有利な場合がある。前回増税前の2014年1~3月期も設備投資は全体で2.5%増と比較的高い伸びを示し、増税後の4~6月期に1.9%減と落ち込んだ。

GDP統計から景気情勢を分析する際には、前の期と比べることが多い。改定値で7~9月期が大幅上方修正された分、10~12月期の前期比の数字は落ち込みやすく「10~12月期が厳しいのは間違いない」(大和総研の小林俊介氏)。民間エコノミストの間ではマイナス成長になるとの見方が多い。

既に個人消費は足踏みしつつある。政府統計をみると、10月は経済産業省の商業動態統計小売販売額が7.1%減、総務省の家計調査で消費支出が5.1%減となった。いずれも前回増税後の4月より下げ幅が大きい。

業界統計をみると新車販売が10月、11月と続けて前年同月比で2桁減った。10月に限れば台風の影響があったとみることもできるが、そもそも消費の基調自体が弱いとの声は根強い。

内閣府が9日発表した11月の景気ウオッチャー調査で街角の景況感は10月から2.7ポイント上昇したが、10月の10.0ポイントの落ち込みからみると戻りは鈍い。内訳を見ても企業動向や雇用動向の指数は下落した。担当者は「世界経済の減速で製造業に影響が出ている」との見方を示す。

政府が月例経済報告で示す公式の景気認識は11月まで「緩やかに回復している」を維持してきた。一方で内閣府が複数の経済統計から算出する景気動向指数による機械的な基調判断は10月まで3カ月連続で「悪化」だ。外需の縮小で生産関連の指標は停滞感が強い。

政府は5日に経済対策をまとめた。今後、年末に向けて、19年度補正予算と20年度予算を一体的に編成するうえでも景気の実勢の見極めが重要になる。

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