日米でサイバー攻撃に対処 自衛隊と米軍が図上演習
陸上自衛隊は9日、陸自の朝霞駐屯地(東京都練馬区など)で米軍との指揮所演習を始めた。コンピューターを使った大規模な図上演習で、実際の部隊を動かさずに有事にどう対応するかなどを訓練する。従来の陸海空にとどまらず、サイバーや電磁波といった新たな領域への対応と組み合わせた領域横断(クロス・ドメイン)作戦での連携体制も確認する。
共同演習は16日まで、陸自の健軍駐屯地(熊本市)や米海兵隊キャンプ・コートニー(沖縄県うるま市)でも開く。日米の共同方面隊指揮所演習「ヤマサクラ」は1982年から始めている。日米それぞれで開催し、日本で開くのは39回目だ。今回は自衛隊が約5000人、米軍が約1600人が参加し、オーストラリアとカナダ軍もオブザーバーとして加わった。
演習はゲリラ攻撃や弾道ミサイルの発射、離島への敵の上陸が同時に起きた場合を想定して実施する。現場を指揮するコンピューターにサイバー攻撃が仕掛けられた際の対処法も演習上の課題とする。安全保障の新たな領域で中国やロシアの脅威が増していることを念頭に、日米の協力態勢を密にする狙いがある。
自衛隊と米軍はこれまで、双方のサーバーをインターネット上でつなぎ、サイバー攻撃に対処する訓練などを開いてきた。サイバー空間では日米安全保障条約に基づく米国の対日防衛義務が生じることも今年4月に確認している。