北朝鮮、ICBMエンジン試験か 米国の反応瀬踏み
正恩氏、交渉停滞ににじむ焦り

北朝鮮
2019/12/8 23:20
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「重大な実験」を表明した北朝鮮のニュースを見る人々(8日、ソウル駅)=AP

「重大な実験」を表明した北朝鮮のニュースを見る人々(8日、ソウル駅)=AP

【ソウル=恩地洋介】北朝鮮が北西部の東倉里(トンチャンリ)にある衛星発射場で「非常に重大な実験」に成功したと発表した。専門家は大陸間弾道ミサイル(ICBM)のエンジン燃焼試験だった可能性を指摘している。米国との非核化交渉を巡り、自ら「年末」と設定した期限が迫っている。今後も米国の反応を瀬踏みしながら、譲歩を迫るため挑発の水位をさらに高める公算が大きい。

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実験を発表した国防科学院は弾道ミサイルなど北朝鮮の兵器開発を担う組織だ。同院報道官は実験の詳細を明示せず「朝鮮の戦略的地位をもう一度変化させる上で重要な効果を持つだろう」と主張した。北朝鮮は2016年以降に東倉里で長距離弾道ミサイルのエンジン燃焼実験を繰り返し、17年11月には米本土を射程とする新型ICBM「火星15」を発射した。

今回の実験に関し、韓国国防省出身の金東葉慶南大教授は「ICBM用の固体燃料エンジンの実験だったのではないか」との見方を示す。火星15は液体燃料を使用したが、固体燃料に移行すれば移動式発射台が使える。発射時の機動性や核弾頭の運搬能力を向上させることで、米国への脅威は一段と高まる。

金正恩(キム・ジョンウン)委員長は18年4月にICBMの発射中止を宣言し、トランプ米大統領には東倉里のミサイル試験場の廃止を約束した。非核化協議では、これらの見返りとなる「相応の措置」を米国に要求してきた。

トランプ氏は7日に、北朝鮮の挑発的な行動について「金委員長が私の選挙の妨げになるようなことをしたがっているとは思わない」と述べ、自制を求めた。米朝関係が緊張状態に逆戻りすればトランプ氏の外交成果を傷つけ、20年大統領選の「妨げ」になるというわけだ。しかし北朝鮮はこれを逆利用しようとしている。

北朝鮮は12月下旬に朝鮮労働党の中央委員会総会を開き「重大な問題を決定する」と予告している。対話に転じる以前の状態に戻る決断を示唆すると同時に、危機のレベルを徐々に上げながら米国を譲歩に誘う圧力をかけ続ける戦略を描いているとみられる。

トランプ氏は6日(日本時間7日午前)に韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と電話し、北朝鮮への対応を協議した。韓国メディアによると、今月中旬には米国のビーガン北朝鮮担当特別代表が訪韓し韓国高官と話し合う。北朝鮮は米国による敵視政策の撤回を要求しているが、専門家の間では北朝鮮経済の大きな足かせになっている制裁の緩和を強く求めているとの見方が多い。

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