米産大豆・豚肉、中国が関税免除継続 貿易協議配慮か

貿易摩擦
2019/12/6 18:04
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米農家は米国産大豆の関税免除打ち切りを懸念していた(11月、米インディアナ州の大豆畑)=ロイター

米農家は米国産大豆の関税免除打ち切りを懸念していた(11月、米インディアナ州の大豆畑)=ロイター

【北京=原田逸策】中国国務院(政府)は6日、米国産の大豆や豚肉について追加関税の免除を続けると発表した。9月から免除を始めたが「関税の免除枠を使い切り、他国産に切り替えるのではないか」との見方が米国の農業関係者から出ていた。大詰めの米国との貿易協議に配慮し、歩み寄りの姿勢をみせた。

中国は米国産の大豆に30%、豚肉に60%の追加関税をかけている。9月にトランプ米大統領が追加関税の発動期限を延ばすと、中国は直後に大豆と豚肉の追加関税の免除手続きを始めると公表した。輸入業者から個別に申請を受け付け、追加関税の免除を認めてきた。免除効果もあり、10月の輸入量でみると大豆は前年同月比17倍、豚肉は同15倍に膨らんだ。

ただ、11月になると米国の農業関係者の間で「中国は大豆の輸入関税免除枠を使い切った。調達先を南米産に切り替えるのではないか」との懸念が浮上してきた。中国政府は具体的な免除枠を公表していない。

6日の公表文は「いまも関連企業の申請に基づき、大豆や豚肉の関税免除をしている」と強調した。免除手続きを継続し「枠を使い切った」との懸念を払拭するねらいがあるとみられる。

中国政府がわざわざ免除継続を強調したのは、米政府が15日に予定する対中制裁関税「第4弾」の全面発動を前に、第1段階の合意に向けた貿易協議が大詰めだからだ。中国商務省の高峰報道官は5日の定例記者会見で「米中双方の交渉団は密接なやり取りを続けている」と語った。

一部には米国での香港人権・民主主義法の成立や、ウイグル人権法案の米下院通過が貿易協議の妨げになるとの懸念があった。交渉の大枠を知る関係者は「もちろんよい影響はないが、2つの法律と貿易協議に直接の関係はない」と語る。

米中がめざす第1段階の合意では、米国が中国に農産物などの大量購入を要求する一方、中国は米国に発動済みの追加関税の撤廃を求める。

米国は具体的な輸入規模などを合意に明記するよう求めるが、中国側は「単価が下落した場合はどうするのか」などと主張し、後ろ向きとされる。6日の公表文でも「我が国企業の自主的な市場化された購買」と強調し、数値目標の設定に慎重な姿勢をにじませた。

一方、米国は追加関税の撤廃に慎重で、交渉内容を知る関係者は「撤廃の条件として中国側がとてものめない譲歩を要求している」と話す。

これまで商務省の高氏も記者会見では「第1段階の合意では双方が追加関税を取り消すべきだ」と主張してきたが、6日は「双方が追加関税を下げるべきだ」と述べた。「取り消し」ではなく「税率下げ」でも構わないとも受けとれる表現だ。仮に中国が関税下げでも満足するならば、米中協議は合意に向けて前進する可能性がある。

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