独社民党、即時連立離脱は回避へ 賃上げなど条件闘争

ドイツ政局
2019/12/6 18:00
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【ベルリン=石川潤】メルケル独政権の与党で、6日の党大会で連立懐疑派を共同党首に正式選出するドイツ社会民主党(SPD)が、即時の連立離脱を回避する見通しとなった。政権残留を求める党内意見が強く、最低賃金の引き上げといった政策協議開催を連立相手のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)に求めていく。

連立維持か離脱かで揺れるドイツ社会民主党(SPD)=ロイター

メルケル政権は、二大政党であるCDU・CSUとSPDによる大連立政権だ。連立懐疑派で、西部ノルトライン・ウェストファーレン州政府元財務相のワルターボーヤンス氏とエスケン連邦議会(下院)議員は11月の党員投票で連立維持派のショルツ財務相らを破っていた。

ワルターボーヤンス氏らは「連立離脱自体が目的ではない」として即時離脱の道は選ばなかった。そのうえで(1)環境保護(2)インフラ投資(3)最低賃金引き上げ――の3つの分野で党の政策をより反映できるように条件闘争に臨む。

ただ党内議論の結果、要求内容はかなり穏健なものとなった。独メディアが報じた執行部案によると、環境保護の分野では今後導入する排出量取引でより高い価格を設定するよう求める。道路や学校などへの積極的な投資も要求する。いずれも具体的な水準は示さず、CDU・CSUが受け入れやすいよう配慮した。

最低賃金は現在の時給9.19ユーロ(約1100円)から同12ユーロに上げるよう求めるが、いつまでに実現するかは明記しない。ワルターボーヤンス氏らは当初、メルケル政権の看板である財政均衡政策の放棄を求めていたが、これもはっきりとは書き込まないことにした。

連立懐疑派が「妥協」(エスケン氏)を余儀なくされたのは、党内の連立維持派の勢力が依然強く、離脱すれば党の亀裂が決定的になりかねないためだ。党首選挙では接戦の末、ショルツ氏らの連立維持派を破ったが、党の中枢を担った同氏への不信任投票の意味合いが強かった。

独公共放送ARDが5日公表した調査結果では、全体の7割がSPDの新しい共同党首に否定的という厳しい結果になった。さらに3分の2が連立政権の継続を求めており、懐疑派への逆風が強まりつつある。

CDU・CSUは連立協定の見直しは認められないという立場だ。ハードルが下がったとはいえ、SPDの要求に応じるかは予断を許さない。CDUのクランプカレンバウアー党首は、連立維持を約束しない限り、両党で合意済みのSPDの看板政策である年金制度改革の実施を棚上げすると揺さぶりをかけている。

8日まで続くSPDの党大会終了後、両党は今後の方針などについて話し合う見込みだ。思うような回答が得られなかった場合、SPDがどう動くかは予断を許さない。連立政権のギクシャクした状況が長期化する可能性もある。

迷走が続けばSPDだけでなく、CDU・CSUの支持率も低下しかねない。2021年秋には次の連邦議会選挙が控える。台頭する緑の党や極右「ドイツのための選択肢(AfD)」の躍進を招く可能性もある。

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