「支離滅裂な言動」指摘 熊谷6人殺害、二審判決要旨

2019/12/5 21:05
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埼玉県熊谷市の6人殺害事件で、一審の死刑判決を破棄し、無期懲役とした東京高裁判決の要旨は次の通り。

【被告の責任能力】

精神鑑定の結果によると、被告は事件当時、統合失調症にかかり、自分や親族に危害を加えようとする追跡者が迫っているという妄想を抱いていた。一審判決もその通りに認定したが、犯行直近の状況に限ってみると、手っ取り早く金品を得ようとする現実的な欲求に基づいて犯行に及んでいるとして、善悪の判断能力や行動制御能力が著しく劣った状態ではなかったと判断し、完全責任能力を認めた。

しかし、一審判決は責任能力について誤った判断枠組みに基づいている上、精神鑑定の評価にも誤りがあり、是認できない。

被告は事件前、電車の乗客の家族連れを不審に感じて警察に通報しようとしたり、警察官が追跡者とつながっていると考えて警察署に財布などの貴重品を残して逃げたりするなど、異常な言動を繰り返していた。事件当日、警察官に発見された際も、興奮状態で自傷行為に及ぶという支離滅裂な言動を取っていた。

被告が事件現場の住宅に侵入したのは追跡者から身を隠す目的だった可能性を否定できない。また被害者らを追跡者と見なしたか、警察や追跡者に連絡をされると考え、命の危機を感じて殺害した可能性がある。

以上の通り、犯行は統合失調症による妄想の影響が非常に大きかったことが否定できない。一方、遺体を隠すなど証拠隠滅と受け取れる行動も繰り返しており、自発的意思も残されていた。妄想に完全に支配されていたとは言えず、心神耗弱の状態だったと認められる。

【量刑の理由】

強固な殺意に基づく残忍な犯行で、何の落ち度もない6人が突然命を奪われた結果は誠に重大だ。責任能力の点を除けば極刑をもって臨むほかない。心神耗弱による法律上の減軽をした上で、上限である無期懲役にするのが相当と判断した。〔共同〕

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