中国、旅行にガイドいらず スマホが世界1万カ所案内

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コラム(テクノロジー)
2019/12/10 2:00
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世界の観光地を網羅する旅行コンテンツプラットフォーム「三毛遊(sanmaoyou)」を運営する「三毛信息科技(Sanmao Information Technology)」がこのほど、シリーズAで中国の大手検索エンジン「Sogou(搜狗)」から数千万元(数億円)の資金調達を完了した。調達した資金は、チーム拡充、研究開発、チャネル構築、コンテンツ制作に充てられる予定だ。

スマートフォンを使って世界各国の観光地や博物館などの案内が受けられる(三毛信息科技提供)

スマートフォンを使って世界各国の観光地や博物館などの案内が受けられる(三毛信息科技提供)

2015年に設立された三毛遊は、観光地や博物館・美術館でのスマートガイドを出発点として、ツアーガイドと歴史・文化コンテンツを組み合わせた垂直統合型プラットフォームを手がけるインターネット企業だ。

近年、観光市場の規模は拡大し続けており、自由旅行の観光客も年々増加している。タイトな旅程で多数の観光地を巡るツアーに満足できない旅行客がますます増え、観光地の歴史と文化に関する深い知識を持つガイドへのニーズが高まっている。しかし、プロ人材の供給には限りがある。こうした中で、三毛遊は世界70以上の国・地域で1万カ所以上の観光地および博物館・美術館のスマートツアーガイドサービスを展開している。

観光地の立体的な地図を見ながら音声解説を聞くことができる(三毛信息科技提供)

観光地の立体的な地図を見ながら音声解説を聞くことができる(三毛信息科技提供)

スマートツアーガイドサービスでは、三毛遊は自社開発のマップエンジンでユーザーの位置情報を自動的に追跡し、その移動に合わせて適切なコンテンツを提供している。テキスト、動画、写真などのコンテンツは主に政府観光局、観光地、ツアーガイド、ガイドブックなどの紹介に基づいて作成されており、音声録音は外部の専門家や声優に依頼している。ガイド作成には小さな観光スポットなら2~3日、中~大規模の観光地の場合は約1週間かかるが、月あたり200件の新規コンテンツがリリースされている。リリース前に、各地の地域パートナーが現地でテストと確認を繰り返し、位置情報機能などの精度を調整する。

利用料金は、観光スポットの人気度、案内されるスポットの数、解説者のレベル、コンテンツの質などに基づいて設定されている。単一スポットのプランに加えて、都市や国単位のパッケージプランと追加プランも設けている。

創業者の丁健雄氏によると、ツアーガイドに加えて、三毛遊は青少年向けの「鑑賞アカデミー」セクションを開設し、文化、歴史、芸術、音楽などの分野を網羅する約100コースを提供している。その中の「オンライン展示」コースは、年末にもAR(拡張現実)ツアーサービスを開始する予定だ。実際の展示会場で一度にサービスを提供できる人数は限られており、またコストもかかるが、オンライン展示はこうした問題点を解決できるという。

コンテンツの充実により、三毛遊は単なる旅行用ツールから高いリピート率を誇る文化・学習プラットフォームに生まれ変わっている。トラベル関連Q&A、アート百科事典、カルチャー&クリエイティブモールなどを展開し、「携帯電話1つで世界中を旅する」かのような高品質な体験の提供を目指している。

コンテンツに関して、三毛遊はPGC(プロにより制作されたコンテンツ)、UPGC(プロとユーザーによる共同製作コンテンツ)、UGC(ユーザーにより制作されたコンテンツ)の3本立てだ。観光地や博物館・美術館のガイドコンテンツは主にPGCで構成され、正確性を担保すると同時に、文化、歴史、芸術分野における600人以上の専門家と100以上のコンテンツ製作組織と提携しており、より多様な文化コンテンツを探索している。UGCに関しては、アップロード作業もサポートしている。

画像認識によって美術品を識別することもできる(三毛信息科技提供)

画像認識によって美術品を識別することもできる(三毛信息科技提供)

広告宣伝では旅行代理店、ツアーガイド、観光施設地、博物館・美術館などと提携しており、国内および海外市場でのプロモーション体制をすでに固めている。大手スマホメーカーのファーウェイ、vivoや中国の大手オンライン旅行会社「トリップ・ドットコム(Trip.com、旧Ctrip)」、地図サービス大手「高徳地図(Autonavi)」、今回の出資者Sogouなどと良好な関係を確立し、ブランド認知度を高めている。現在、アプリの登録ユーザーは約2000万人、有料ユーザーは約400万人で、リピート率は30%。オフシーズン中の月間アクティブユーザー(MAU)は約100万人だが、ピークシーズン中は200万人以上に達する。

丁氏によると、プラットフォームの利益の内訳は、ツアーガイドサービスと青少年向けアカデミーがそれぞれ70%と20%を占めており、観光地向けのカスタマイズサービスが10%となっている。2018年の売上高は600万元(約9000万円)だが、今年はすでに1000万元(約1億5000万円)を超えた。2018年初めに黒字化している。

ツアーガイド市場には、テキスト形式の旅行ガイドや携帯電話ナビゲーションサービスのプラットフォームが多く存在しているが、これらのサービスは旅行先の利用者のニーズには十分に応えられず、あるいはOTA(オンライン旅行会社)などの企業にとって単なる収益源の一つにとどまっている。これに対して、三毛遊の多様なコンテンツ形態および決済方式は、コンテンツの収益性を高めている。

本社所在地は広州で、20人以上の従業員のほか、レコーディング、翻訳、デザインのパートタイムスタッフが数百人もいる。創業者兼CEOである丁健雄氏は、16年の経歴を持つシリアルアントレプレナー。共同設立者でCOOの王梓璇氏は、長年のオンライン旅行プラットフォーム運営経験を持っている。

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中国語原文はこちら(https://36kr.com/p/5267865)

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