北島康介 五輪のミカタ

フォローする

バド桃田が見せた 勝負に生きる覚悟

Tokyo2020
2019/12/5 19:00
保存
共有
印刷
その他

「すごい」「強い」と言われ続けている人はどんなプレーをするのか? いつも興味があるテーマだ。

バドミントンの全日本総合選手権でも世界ランク1位、桃田賢斗選手のプレーを楽しみに見に行った。国際大会とは戦うレベルが違うからこそ、「勝って当然」と期待されるプレッシャーもかかる。本人も「海外の方が気持ちは楽」と言っていた。

全日本を圧倒的な力で制した桃田に勝負に生きる覚悟を感じた=共同

全日本を圧倒的な力で制した桃田に勝負に生きる覚悟を感じた=共同

初めて桃田選手を見たのは1年と少し前、ジャカルタ・アジア大会だった。1年近いブランクから復帰して世界ランクも上げていた頃、3回戦で負けた試合だった。プレーは「守って、守って、チャンスが来たら打つ」という印象だった。

国内戦というのもあるかもしれないが、今回は攻めていた。決勝も競ったのは最初の数ポイントだけ、すぐに桃田選手ペースに。素人目にも「来年に向けていろいろ試して、より強くなる部分を探しているな」とわかる戦いぶりでの優勝だった。

五輪2度出場の池田信太郎さんいわく、相手が痛恨のミスをしたとき、ここぞとばかりに桃田選手が相手を見つめる視線がド迫力らしい。確かに「あの選手、気持ちが切れた」とわかる瞬間はあった。ただ、気持ちで負けたら勝てないので、「心が折れる」という表現を選手はあまり使わない方がいいとは思う。

落ち込んだり、何かがうまくいかなかったりして、1セット落としても、バドミントンは切り替えて、挽回するチャンスがあるのはうらやましい。水泳は水に入った瞬間、「あれ、かみ合わないな」と思ったら、もう終わり。800や1500メートルだったら立て直せる可能性はあるけれど、100や200メートルではほぼありえない。

試合後、桃田選手と少し話した。彼は「五輪で勝ちたい」という言葉ははっきり口にしない。「恩返ししたい」「応援される選手になりたい」と言う。素直な選手に見える分、覚悟を感じた。

2年前、彼は人間らしい部分をさらけ出し、再出発する経験をした。今は五輪のために多くのことを捨てていて、感情もその一つだと思う。

圧倒的に強い立場にある選手ほど、自分をしっかり持てないと、ライバルに隙を与えてしまう。「何があろうと絶対、自分が勝つ」と心底思えないと、五輪は戦えない。桃田選手はこのまま東京五輪まで突っ走ってほしい。

さて、女子の元世界ランク1位山口茜選手には、残念ながら会場で会えなかった。今、調子を落としているようで、準決勝で負けていた。水泳をやっていたらしく、彼女が小学生の頃、頼まれてサインを書いたことがあるんだけど、覚えているかな?

北島康介 五輪のミカタをMyニュースでまとめ読み
フォローする

日経電子版が最長2月末まで無料!
初割は1/24締切!無料期間中の解約OK!

保存
共有
印刷
その他

五輪関連コラム

パラリンピック関連コラム

関連キーワード

電子版トップスポーツトップ

北島康介 五輪のミカタ 一覧

フォローする
2020年の元日は新しくなった国立競技場での天皇杯決勝を観戦。イニエスタらの妙技に酔いしれた

 2020年の元日は、新しくなった国立競技場1発目のスポーツイベント、サッカー天皇杯決勝で迎えた。
 最上階付近でも見やすく、満席でも圧迫感がない。音がこもる構造も熱気に貢献していて、五輪本番の盛り上が …続き (1/9)

全日本を圧倒的な力で制した桃田に勝負に生きる覚悟を感じた=共同共同

 「すごい」「強い」と言われ続けている人はどんなプレーをするのか? いつも興味があるテーマだ。
 バドミントンの全日本総合選手権でも世界ランク1位、桃田賢斗選手のプレーを楽しみに見に行った。国際大会とは …続き (2019/12/5)

盛り上がったラグビーW杯。日本代表の「チーム一丸」の躍進が日本人の心に刺さった=共同共同

 ラグビーのワールドカップ(W杯)が盛り上がりました。同時期にテニスのジョコビッチ(セルビア)、ゴルフのウッズ(米国)らも日本でプレーして話題になったし、「スポーツに熱い国なんだ」と、世界に伝わればい …続き (2019/10/31)

ハイライト・スポーツ

[PR]