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横浜市、IR誘致作業を本格化 市民団体は反発

IRのゆくえ

カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致を目指す横浜市の準備作業が本格化してきた。横浜市は4日、初の住民説明会を開催。23日にはIR事業者からのコンセプト提案を締め切り、企業への聞き取りを踏まえて実施方針の策定に着手する。地元経済界が推進に動く一方、市民団体などは強く反対しており、地元では賛否が入り乱れている。

「実施方針を策定して来年度に事業者を公募し、皆様が安心していただける事業提案を選定する」。林文子市長は4日、開港記念会館(同市)で開いた説明会で1時間弱にわたり、今後の市政やIRの経済効果などを説明した。

説明会には定員を超える951人が応募し、376人が参加。約30分間の質疑応答では反対意見に加え、IRの開業で増えると見込まれる税収の使途や候補地から離れた内陸部への波及効果などの質問が出た。

「反対意見があるなか、なぜカジノなしの計画を検討しないのか」という問いに対し、林市長は「不安に思う人がいるのは承知している」と応じ、理解を求める従来の考えを強調した。林市長は説明会後、報道陣の取材に「率直な感想や意見、質問はありがたかった」と振り返った。

参加したアパート経営の男性(63)は「(IRの理解は)深まらない。誘致することは決まっていて、説明会は単なるガス抜きだ」。地元の主婦(32)は「最初の30分ぐらいは全然必要ない話。カジノの部分を説明する気はないと感じた」と冷ややかな声もあった。

横浜市は2020年3月までに市民向け説明会を全18区で開催するのと並行して、誘致に向けた作業を本格化させる。23日にはIR事業者や建設・開発業者などのコンセプト提案を締め切り、20年度以降の事業者公募の前提となる「実施方針」を策定する。山下公園に近い山下ふ頭(47ヘクタール)を候補地とし、20年代後半の開業を目指している。

8月に横浜市が誘致表明後、IR事業者の動きも加速している。横浜での事業参入に関心を寄せる米ラスベガス・サンズやウィン・リゾーツは日本国内の報道機関などにIRを紹介する海外ツアーを相次ぎ開催。香港メルコリゾーツ&エンターテインメントは国内でリゾート開発するファンドの設立を表明し、10日に事業所を同市に移す。

「私たちはIRの横浜誘致を応援します」――。横浜商工会議所などの地元経済界はIR横浜推進協議会を発足し、3日には地元紙に約300の県内企業・団体などが連名で全面広告を掲載。20年1月には見本市「統合型リゾート産業展」を共催で開き、横浜市に合わせて地ならしを進める。

ただ、市民らの中には警戒感も根強い。カジノに反対する市民団体らが4日の説明会会場周辺でIR誘致の是非を判断する住民投票を呼びかける抗議活動を展開。参加した同市の無職男性(67)は「賛成する人も含め、市民の声を聞かないまま決める市長の姿勢は問題だ」と話す。

横浜市では高齢化に伴い、個人市民税が減少する見込みだ。市はIRや誘致に伴う観光振興などで得る税収で、膨らむ医療・福祉や子育ての費用をカバーしたい考えだ。IR誘致の意義やギャンブル依存症対策などについて関係者の理解を得るとともに、地元が恩恵を得られる誘致策を打ち出せるかが課題となる。

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