東京五輪応援のガンプラ衛星、宇宙に耐える技術

BP速報
2019/12/5 12:02
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ガンダムとシャアザクのガンプラを搭載した超小型衛星「G-SATELLITE」のエンジニアモデル。秒速8kmで地球周回軌道を飛行しながら、東京2020大会へ応援メッセージを発信する(写真:久我智也)

ガンダムとシャアザクのガンプラを搭載した超小型衛星「G-SATELLITE」のエンジニアモデル。秒速8kmで地球周回軌道を飛行しながら、東京2020大会へ応援メッセージを発信する(写真:久我智也)

日経クロステック

ガンダムとシャアザクが宇宙から2020年の東京五輪・パラリンピックを応援――。国際宇宙ステーション(ISS)から放出されるアニメ『機動戦士ガンダム』のプラモデル「ガンプラ」を搭載した超小型衛星が秒速8キロの超高速で地球周回軌道を飛行しながら、東京2020大会へ応援メッセージを発信する。

同企画を推進する東京2020組織委員会は19年12月3日、超小型衛星「G-SATELLITE(ジーサテライト)」が完成したことと、東京2020大会に向けた企画を発表した。このプロジェクトは東京大学と宇宙航空研究開発機構(JAXA)などがコラボするもので、「宇宙から東京2020エール!」企画第2弾「G-SATELLITE 宇宙へ」。G-SATELLITEは、超小型衛星の開発で有名な東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻の中須賀・船瀬研究室が手掛けた。

■ガンプラに耐原子状酸素コーティング

G-SATELLITEの寸法は10×10×34.5センチメートルで、重さは2.95キロ。ガンダムとシャアザクの2体のガンプラを搭載する。さらに電光掲示板や、ガンプラ、地球などを撮影する7台のカメラを載せる。電源は太陽電池とリチウムイオン電池だ。

G-SATELLITEの開発を手掛けた東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻特任研究員の青柳賢英氏(左)と、ガンプラの製作を担当した山中信弘氏(写真:久我智也)

G-SATELLITEの開発を手掛けた東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻特任研究員の青柳賢英氏(左)と、ガンプラの製作を担当した山中信弘氏(写真:久我智也)

カメラが撮影した画像は、衛星から地上へ毎秒32キロビットの速度でダウンロードされる。電光掲示板には、日本語・英語・フランス語の3カ国語で約140パターンのメッセージを表示する。

ISSが衛星を放出する際はガンプラやカメラが衛星内部に格納されているが、それを展開する機構を内蔵する。ガンプラの目とバックパックには真空対応のフルカラー発光ダイオード(LED)が内蔵されており、オリンピック期間は5色、パラリンピック期間は3色に光る。明滅、調光など発光パターンはプログラムできるという。地上からのコマンドで首の向きをコントロールできる機能もある。

衛星はロケットの振動に耐えるための振動試験や、宇宙の過酷な環境に耐えるための熱真空試験(真空、高温・低温)をパスしている。

一方、ガンプラは200分の1スケールで、射出成形ではなく光造形で製作された。寸法は50×80×90ミリ。重さは150グラム。宇宙環境に対応できる特殊な素材と塗料を使用している。本体の素材は3Dプリント用で最も耐熱性が高い樹脂であるハイテンプを採用した。光造形後に炉で焼いて耐熱性を高めている。塗料の下地は、通常のガンプラ用だが、そこに耐原子状酸素(AO)コーティングを施している。消費電力は約2.6ワットで衛星から給電するという。

■放出後1~2年で大気圏に突入

G-SATELLITEは12月5日にJAXAに引き渡され、20年3月中旬に米スペースXの補給船でISSに輸送される。そして4月にはISSから宇宙空間に放出される予定だ。衛星は90分で地球を1周するが、どの場所を飛んでいるのかを示すウェブコンテンツ「3D地球儀」も提供するという。

発表会では宇宙飛行士の山崎直子氏(一番右)や、ロックバンドLUNA SEA、X JAPANのメンバーのSUGIZO氏(一番左)も登壇した(写真:久我智也)

発表会では宇宙飛行士の山崎直子氏(一番右)や、ロックバンドLUNA SEA、X JAPANのメンバーのSUGIZO氏(一番左)も登壇した(写真:久我智也)

オリンピックは10日前、パラリンピックは3日前から、大会期間中は毎日メッセージを発信する。日本代表や日本選手だけでなく、メダルを獲得したり世界記録を出した選手に対して電光掲示板で祝福のメッセージを表示したりするという。プロジェクトは20年9月6日に終了する。衛星は宇宙空間に放出後1~2年ほどで地球大気圏に突入し、燃え尽きるため、宇宙デブリにはならないとしている。

(日経 xTECH 内田泰)

[日経 xTECH 2019/12/04掲載]

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