NATO、シリア・国防費で亀裂 首脳会議が閉幕

2019/12/4 19:41
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4日、NATOのストルテンベルグ事務総長(右)とともに首脳会議に出席したトランプ大統領=AP

4日、NATOのストルテンベルグ事務総長(右)とともに首脳会議に出席したトランプ大統領=AP

【ロンドン=竹内康雄、中村亮】創設70年を記念する北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が4日、閉幕した。宇宙空間での防衛強化とともに、中国の脅威に対応する必要があるとの認識で一致した。ただ米国が欧州勢に軍事費の増額を求めるなど米欧間には対立が残る。NATOの安全保障の枠組みが揺らげば、中ロを利することになりかねない。

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首脳会議は4日に「ロンドン宣言」を発表した。会議で中国を本格的に取り上げるのは初めて。宣言では中国が欧州のインフラに投資している状況などを踏まえ、「同盟として共同で取り組む必要がある」と明記した。宇宙空間を陸海空やサイバー空間に続く「作戦領域」と位置づけて、人工衛星に対するサイバー攻撃などに共同で対処する方針も打ち出した。

閉幕後に会見したNATOのストルテンベルグ事務総長は「中国に武器管理の枠組みへの参加を促す方法を見つけなければならない」と語った。

表向きは結束を演出するNATOだが、米欧には対立点が残る。「とても興味深い質問だ」。トランプ米大統領は3日、軍事費が国内総生産(GDP)の2%に満たない加盟国に対する防衛義務を米国が負うかを問われてこう語った。

NATOは軍事費を2024年までにGDP比2%超にする目標を掲げる。トランプ氏はドイツなど未達の国を「不公平だ」と批判し、義務履行を明言しなかった。

シリア情勢ではトルコがシリア北東部への攻撃の正当性を主張し、敵対するクルド人勢力をテロ組織と断定するように迫る。トルコの暴走を許すNATOは「脳死状態にある」(フランスのマクロン大統領)と機能不全を憂う声が上がる。

NATOの亀裂は共同防衛体制の揺らぎにつながる。例えば米ロの中距離核戦力(INF)廃棄条約の失効を受け、ロシアが欧州を標的とするINFを再配備した場合の対応だ。欧州には「トランプ氏が自国の安全保障と無関係とみるのではないか」との疑念がある。

NATOでは中国も新たな問題として浮上する。大陸間弾道ミサイル(ICBM)や極超音速兵器の開発が脅威になるからだ。ただ安全保障上の懸念があるとして米国が排除を求める華為技術(ファーウェイ)について、欧州勢の多くが次世代通信規格「5G」で同社製品を採用する見通し。対中政策で米欧には温度差がある。

一方で中国とロシアは9月、ロシア南西部で軍事演習を実施した。軍事的応用も可能な技術開発の協力も視野に入れているとされる。中ロが結束して対抗姿勢を示すなかで、米欧対立は解消のメドが立たない。創設70年を迎えたNATOが結束を取り戻す道のりは見えないままだ。

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