米民主、12月中のトランプ氏弾劾訴追めざす 司法委で法的根拠審議へ

2019/12/4 18:00
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【ワシントン=永沢毅】トランプ米大統領のウクライナ疑惑を調べてきた米下院情報特別委員会は3日に公表した報告書で、同氏が職権を乱用して政敵のバイデン前副大統領の調査をするよう圧力をかけた不正行為を認定した。これを受け下院の過半数を占める野党・民主党は4日から司法委員会に舞台を移し、弾劾の法的根拠に関する審議に着手。12月中の弾劾訴追をめざして詰めの作業を急ぐ構えだ。

ウクライナ疑惑を巡る弾劾調査について記者会見する、米下院情報特別委の委員長=3日、米ワシントン(UPI=共同)

4日に開く司法委でのウクライナ疑惑に関する公聴会は初めてで、9月下旬に始まった弾劾調査は新たな段階に進む。トランプ氏の弾劾に関する世論が二分されているなか、与野党の攻防が一段と激しくなる。

下院情報特別委員会が3日に公表した弾劾調査の報告書は計300ページに及んだ。同委に出席した政府高官の公聴会での発言や非公開の宣誓証言などに基づき、民主が中心になって作成したもので「大統領の不正行為と議会の調査を妨害した証拠は計り知れないほどある」と断じた。

「不正行為」はトランプ氏がウクライナ政府への軍事支援などの見返りとして、民主のバイデン前副大統領の不正調査をするよう圧力をかけたとする内容が柱だ。2020年大統領選での再選に有利に働くよう大統領の職権を乱用したと認定した。

もう一つの「調査妨害」は、トランプ政権が疑惑解明に向けた議会の調査に協力しなかったことを指す。トランプ氏は議会の召喚状に応じず、政府高官の議会への出席や関連資料の提出を拒否するようホワイトハウス高官に指示した。自らに不利な発言をしないよう公聴会のさなかに証言者の信用をおとしめるツイートもしていた。

この報告書を踏まえ、下院司法委の公聴会は一連の行為が弾劾に値するかどうかを審議する。4日はハーバード大など4人の憲法学者らを招き、法的根拠について証言を得て弾劾訴追の肉付けを急ぐ方針だ。合衆国憲法は大統領を弾劾する理由として「反逆罪、収賄罪または重罪や軽罪」をあげている。

例えば、バイデン氏の不正調査の要請は外国勢力への選挙支援の要請を禁じた米連邦法に違反する可能性がある。アダム・シフ情報特別委員長(民主)は、大統領による調査妨害も弾劾訴追の根拠になり得るとの認識を示している。報告書が示したトランプ氏の不正行為に違法性があるかどうかについて、憲法学者が示す見解がポイントになりそうだ。

トランプ氏は反発を強めている。「恥ずべきことだ。何も間違ったことはしていない」。訪問先のロンドンで記者団にこう語り、民主への対抗姿勢を鮮明にした。民主が4日の公聴会で求めていたホワイトハウスの弁護士の出席も拒否した。

共和も「ウクライナへの圧力や見返り要求はない」とトランプ氏と足並みをそろえ、同氏の不正を裏付ける証拠は見つかっていないとする独自の報告書をまとめた。

民主は司法委での議論を経て、弾劾の根拠や理由などを記した決議案の策定に入る。米メディアによると、クリスマス前までに下院本会議で決議案を採決し、過半数の賛成を得て弾劾訴追に踏み切るシナリオを描いている。

下院では民主が過半数を占めるため、トランプ氏は弾劾訴追される公算が大きい。ただ、20年1月以降に上院で開かれる弾劾裁判でトランプ氏を有罪として罷免するには、出席議員の3分の2の賛成が要る。上院(定数100)は共和が53議席、民主が47議席のため、ハードルが高い。

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