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中村哲医師、アフガンで銃撃され死亡 現地で人道支援

(更新)
医師の中村哲さん

アフガニスタンで医療や灌漑(かんがい)事業などの人道支援に取り組む非政府組織(NGO)「ペシャワール会」(福岡市)の中村哲医師(73)が4日、現地で銃撃され、死亡した。ペシャワール会が明らかにした。

アフガニスタン東部ナンガルハル州の報道官によると、中村さんのボディーガードや運転手ら5人も死亡したという。

ペシャワール会によると、中村さんは現地時間の4日朝、アフガン東部の都市ジャララバードにある宿舎から、北東方向に25キロほど離れた灌漑(かんがい)用水の改修工事現場に向かった。その途中で何者かが車両を銃撃。中村さんは右胸付近に被弾し、ジャララバードの病院に搬送され、手術を受けたが死亡した。

中村さんらを襲った人数や性別などは不明。同国での移動時は通常、護衛用の車が同行しているが、当時の状況はよく分かっていないという。

中村さんは同会の現地代表のほか、PMS(平和医療団・日本)の総院長を務める。2003年から深刻な干ばつで苦しむ東部のナンガラハル州で用水路建設を開始。年間の半分以上は現地に滞在し、農業振興に取り組んでいた。

反政府武装勢力のタリバン関係者は4日、日本経済新聞の取材に「今回の日本人の攻撃には関与していない」と語った。ただアフガニスタンにはタリバンのほか、過激派組織「イスラム国」(IS)など20強のテログループが活動しているとみられ、地域情勢が不安定になっている。

安倍晋三首相は4日夜、中村さんの死亡を受け「ショックだ。心からご冥福をお祈りしたい」と述べた。「危険で厳しい地域で命懸けで様々な業績を挙げ、アフガンの人々からも大変な感謝を受けていた」と評価した。首相官邸で記者団に語った。

菅義偉官房長官は4日の記者会見で、外務省に領事局長をトップとする対策室を、在アフガニスタン日本大使館に現地対策本部をそれぞれ設置したと明らかにした。「さらなる情報収集をしている。誰から銃撃されたとの情報はまだ得ていない」と語った。

中村さんは福岡県出身。1984年にアフガンとの国境付近にあるパキスタンのペシャワルの病院にハンセン病の医師として赴任した。同国やアフガンで医療支援活動を続けてきた。

2000年からはアフガンで発生した大干ばつ対策のため井戸掘りなどの事業を開始。03年からは同国東部で用水路の建設も始め、これまで約1万6500ヘクタールの土地に水を供給した。

03年には「アジアのノーベル賞」と言われるマグサイサイ賞を受賞したほか、今年10月にはアフガン政府から市民証(名誉市民権)を授与された。

ペシャワール会は1983年に中村さんの医療活動を支援する目的で設立されたNGO。2008年、アフガンで農業支援に取り組んでいたスタッフの伊藤和也さん(当時31)がアフガン人の運転手と共に拉致され、遺体で見つかる事件が起きた。事件後、同会は日本人スタッフを帰国させたが、中村さんは現地に残り活動を続けていた。

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